11月8日発売、ソニックシリーズ新作「ソニックフロンティア」をクリアまでプレイしたので感想をまとめておきたいと思います(プレイ時間15時間強)。
高速移動による爽快なプレイ感がソニックシリーズの持ち味かと思いますが、それをうまくオープンワールド方式のゲームに取り入れた作品となっていました。
また、カメラワークにも非常に凝っており、特にワンオクロックの楽曲が使われるボス戦はアクション映画をそのままプレイしているような大迫力! これだけでもプレイの価値あり、と言えるほどクールでした。
一方でそのカメラワークが、快適なプレイを邪魔している面もあります。全体的に細かな点で調整不足感が否めない作品だと感じました。いかに細かく見ていきましょう。
攻略記事はこちらです。 クロノス島 アレス島 カオス島 ウラノス島
ソニックフロンティア 概要
ソニックシリーズ本編、17年に発売された「ソニックフォース」に次ぐ正統派続編がソニックフロンティアです。
エミー、テイルスとともにカオスエメラルドとエッグマンを追い旅をしていたソニック。カオスエメラルドの反応があると思しき「スターフォール諸島」に向かったところ、正体不明の力により「グリーンヒル」のような異世界「電脳空間」に引き込まれてしまいます。
持ち前の俊足をいかし、何とか「電脳空間」から脱出したソニック。しかし、そこにはテイルスとエミーの姿はありません。ソニックは自らを導く声に従い、電脳空間にとらわれたテイルスとエミーを救い出すためにスターフォール諸島を旅することに。
電脳空間の謎を調べるとスターフォール諸島にかつて栄えた「超古代文明」の存在が徐々に明らかになります。しかし、そこに暗躍する「エッグマン」そしてエッグマンが作り上げた謎の少女と超古代文明の謎を守る「守護神」や「巨神」たちが立ちはだかります。果たしソニックの行く末やいかに……?
といった感じが主なストーリー。
基本的にはオープンワールド方式の「スターフォール諸島」の島々を探索がメインです。各地で待ち構える「守護神」たちを倒したり、謎解きをしていきながら、要所にあるポータルを解放しプレイできる疑似2D面「電脳空間」をクリアすることで、シリーズおなじみ「カオスエメラルド」が解放されます。解放された「カオスエメラルド」の力をつかって、エリアボス「巨神」を倒し「次の島」に進むというのがゲームの流れです。
ソニックフロンティア ゲームプレイ概要
本作の魅力の一つが美しい「スターフォール群島」で繰り広げられるソニックの爽快かつ、迫力のあるアクションでしょう。
端的に言えばソニックお馴染みのハイスピードアクションが3Dマップでも楽しめるようになっています。
スターフォール諸島の各ワールドパップでのアクションはいわゆる、マリオオデッセイやブレスオブザワイルド的な3Dで自由に動けるものと、2017年発売のソニックフォースのような「固定カメラで描かれた奥行きのある2Dと3Dがいれかわる」ハイスピードアクションが随意切り替わるような仕組みで構成されています。
RTがで使えるブーストで島中を走りまわり点在する敵を「X(パンチ)」などのアクションでなぎ倒しつつ、「マップを解放するためのギミック」やエリアに点在する塔など象徴的な建物を踏破する際にカメラワークが固定されたアクション面が挟まれるといったイメージです。
これが結構斬新。いわゆる通常のオープンワールドっぽいアクションも楽しめながら、ソニックが従来培ってきたステージクリア型のハイスピードアクションも楽しめるんですね。
もちろんちゃんとオープンワールド要素はただの味付けではありません。スターフォール諸島各地では「守護神」と呼ばれる「ネームド」の強敵との闘いが待ち受けています。
守護神たちとエンカウントするとクールなアニメーションが挟まれ戦いがスタート。守護神たちにはその行動パターンや見た目に合わせて「NINJA」「STRIDER(タカアシガニ)」「SQUID(イカ)」「SUMO」といった具合に名前がついています。シンプルな格闘アクションを要求されるものや、レールアクションを使って撃破するもの、空を飛ぶ敵の背中医飛び乗りハイスピードアクションを駆使しながら弱点を目指すものまでさまざま。単調になりづらく、これも結構楽しい。
守護神たちを撃破するとスターフォース諸島に点在している「ポータル」を解放するアイテムが手に入り、ポータルを解放すると「電脳空間」への道が開けます。
この電脳空間はいわゆる通常のステージクリア型のアクションとなっています。こちらもまたソニックフォースに近い感じです。ゲームメインはオープンワールドにしつつも、既存のソニックシリーズファン、2D時代のソニックシリーズファンにを置いていかないために作られた心遣いに感じました。
電脳空間をクリアすると
・レッドリングをいくらとったか。
・クリアタイム
・クリアまでの保有リング数
・クリアしたか
などなどクリア実績に応じて「エメラルドキー」が手に入ります。このエメラルドキーはシリーズおなじみ「カオスエメラルド」解放のためのアイテムです。
全てのカオスエメラルドを解放すると巨大ボス「巨神」との闘いに挑めます。
これがとにかくかっこいい。ONE OK ROCK提供のBGMをバックにスーパーソニックとなり、山のような巨体をもつボスと繰り広げる戦い。迫力あり映画の中に登場するソニックをみずから動かしているような操作感があり、これだけでもソニックフロンティアをプレイする価値あり、と思えるものになっています。
ソニックフロンティア 気になる点
ソニックフロンティアは既存のソニック作品のハイスピードアクションをオープンワールドゲームに落とし込んだうえで、壮大なボス戦など新たな要素をこれでも盛り込んだ点が非常に面白いゲームと言えるでしょう。
ただ、何点か気になる点がありました。
オープンワールドだが自由度は少ない
まずあげられるのがオープンワールド的な自由度が少ないということ。オープンワールドと言えば眼前に広がる壮大な世界をプレイするキャラクターを使用して、グリッチを探したり、各種要素の限界を試したりと、いかようにでも楽しめるのが面白いのですが、ソニックフロンティアではあまりできることはありません。
ソニックの操作は「ブースト」「ダブルジャンプ」「格闘アクション」程度、例えば、バグを活用してシナリオ進行度によっては踏破できない場所に行くといった面白みのあることができないのです。
ソニックフロンティアのオープンワールドっぽさの薄さ、クリアまで遊んでみると、ソニックフロンティアで「オープンワールド要素」が薄いのは、単に容量の問題などではなく、ゲーム開発陣が意図したことではないか、とも思えてきます。
例えばシステム面では、オープンワールドのだいご味と言えばマップを解放することにあると思うのですが、基本的に本作ではマップをすべて解放しなくてもエリアをクリアできるようになっています。
加えて、ファストトラベル要素もあるにはあるのですが、ミニゲーム「釣り」をプレイしなければ解放されません。
ミニゲーム釣りはスターフォール諸島各地にある「釣り場に転送するポータル」を使用して遊べます。釣り上げた魚の中にランダムで「ファストトラベル要素」を解放できるアイテムが含まれており、純然たるやりこみ要素になっています。
加えてこの釣りはシンプルなミニゲーム(魚がかかった瞬間に簡単なQTEをクリアすれば魚が釣りあがる)なのですが、得られるメリットがあまりに大きい。釣った魚に応じて手に入る「トークン」を使用すれば、ソニック強化アイテムが手に入るだけでなく、「カオスエメラルドの解放」に必要な「エメラルドキー」やポータル開放に必要なアイテムまで簡単に手に入ってしまい、オープンワールド要素を大幅にカットできてしまうんです。
おそらく「ソニックならではのスピード感」を担保するために作られた要素なのかなと邪推したのですが、それゆえに「オープンワールド」要素がおざなりになっているような気がしてなりません。
ボス戦のカメラワークがしんどい
加えて、ハイスピードアクションや壮大なボス「巨神」とのやり取りが大変に楽しいと説明しましたが、同時に苦痛でもありました。映画的なカメラワークが楽しめるのですが、カメラワークが要所要所で固定されてしまい「ボスが見えない位置でカメラが固定、視覚外から一方的に殴られる」「ソニックの移動に伴うエフェクトとボスの攻撃エフェクトがかぶり、見づらい」といった視覚的な見づらさが頻発し、ストレスを感じました。これはおそらく解消の使用がない点でしょう。視覚的なストレスを加味してもアクションが面白いと思えないプレイヤーだとソニックフロンティアを楽しむことは難しいかも。
ストーリーはかなり薄味 既存シリーズ未プレイの人にはハードルが高いかも
そして最後にストーリー、これも正直いまいちでした。なぜ概要で細かく触れてこなかったかというとほとんど中身がないからです。要所要所でスターフォール群島にまつわる「超古代文明の謎」が触れられるのですが、それがどうソニックたちの冒険につながってくるかは最後まで明確に明らかにはされません。キャラクターの会話もおかしくはないのですがSF的な言葉回しを特に工夫もせず直接乗せた「正しい機械翻訳」のようなフレーズが多く没入しづらい。そこに加えてソニック周辺のキャラの深堀がなく、「既存作品をプレイしていないと何が何だかわからない」状態になってしまうのです。
こうした点から全体的には大味だと感じてしまいました。
ソニックシリーズとしては革新的な作品です。破綻するところはなく、十分に楽しめる作品だとも思います。例えば、種々の要素からオープンワールドに親しんでいて既存シリーズ未プレイのプレイヤーが手に取る、といった場合には少々敷居の高い作品だとも感じてしまいました。
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