Laika: Aged Through Blood デモ版レビュー 荒涼とした世界を行く愛と復讐のモーターヴァニア、難易度がめちゃ高いのが悩み

ゲームレビュー

今回はSteamネクストフェスにてデモ版が配信されていた、Laikal:Aged Through Bloodのデモ版を最後まで遊んだので感想をまとめておこうと思います。

短評 歌つきのシャレオツな楽曲が流れる中、荒涼とした世界をバイクで走り抜ける気持ちよさは最高の一言! 主人公ライカの華麗なバイクアクションも見もので、時間を遅らせるバレットアクションを駆使し、敵である「バード」たちを次々に撃ち倒していったときの快感はたまらないものがあります。

ただし、そういった操作をうまく、決めることができれば。

製品版ではどういったアップグレードがあるのかはわかりません。ただ、デモ版では敵の攻撃を喰らうならいざ知らず、バイクの操作をミスっただけでも、一撃でライカは死にます。たしかに現実世界ではバイクの操作を誤ったらやべぇことになるけれども、そこまで難しくしなくとも……。と正直感じてしまいました。

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開発は 好評価ケモノアドベンチャーを手掛けたBrainwash Gang

本作Laika: Aged Through Blood(以下Laika)の開発を手掛けたのはBrainwash Gangです。比較的歴の長いインディースタジオで2021年にはケモノキャラの人生を追体験する経験に重きをおいたナラティブなアドベンチャーゲーム「The Longest on Earth」で高い評価を得ています。

このときからケモノをフィーチャーしていたり、Laikaでも起用されているミュージシャンBEICOLIさんhttps://twitter.com/beicoliの楽曲を使用。Brainwash Gangらしさとでもいえるようなものが感じられますね。

そんな流れの中でLaikaは開発4年をかけてついに誕生と相成りました。今作Laikaもケモノ世界を舞台に主人公ライカをはじめとした、キャラクターたちの人生を感じさせられるような丁寧な物語、そして、美しい楽曲群はそのままに一風変わった骨太なメトロイドヴァニアになっています。

コヨーテの戦士が復讐の旅に

舞台となるのは、ポストアポカリプス世界。ケモノたちが生きているということ以外は、どうやら我々現代人と同じような文明レベルの世界であったらしいことがうかがえます。しかし、何らかの大規模な災害が起こり、あたりは一面砂漠で覆われた世界に。

主人公はそんな世界で銃を手に取りバイクにまたがり「敵」と戦う、女戦士ライカです。敵とは何か。それが「バード」と呼ばれる鳥のような姿をした者たち。デモ版では多くは語られないもののバードたちは強大な化学力でもって、ライカたちの世界を支配。それだけでなく、暴虐の限りを尽くしていることがわかります。

物語はライカが先祖たちの霊を祭った「トーテム」に祈りをささげているところから始まります。ライカの子である「パピー」から電話が。

いとこのプーチーがバードに命を奪われ、死体をもてあそばれたというのです。そして怒り狂った、プーチーの父ヤコブはライカの銃を手に取り、単身バードたちの元に向かったと告げるのでした。

ヤコブが向かったバードたちの兵器工場は血に塗れています。奥にたどり着くとそこには自身も致命傷を負ったヤコブの姿が。

戦士であるがゆえに、憎しみの連鎖を断ち切る困難さを理解し、戦いを嫌うライカ。しかし、このヤコブの事件をきっかけに、戦いの螺旋に巻き込まれて行ってしまいます……。

荒涼としているが美しい世界。 緻密に描かれるキャラクターの心情

デモ版を遊んでいて魅力だと感じたのは、なんといっても、その世界感。ライカが荒野の中をバイクで走っているだけでもメチャクチャかっこいい。バックのボーカル付きのBGMはどことなく寂寥感があり、ライカのたった一人の旅の過酷さを感じさせてくれます。この演出もたまらない。

各キャラクターの細かな設定も丁寧に掘り下げられており、かつゲームシステムに組み込まれているのも魅力。例えば序盤に命を落とすヤコブは音楽カセットを集めて聞くのが趣味です。Laikaでは、そのヤコブが求めていたカセットを集めることがコレクション要素になっています。ですから、アイテムを収集する行為自体がヤコブの追悼につながるという設計になっているんです。

またシナリオ面でのキャラクターの内面の掘り下げも実に丁寧で緻密です。例えば、主人公ライカ、母、そして娘のパピーの関係性は戦地で生まれた人々の心情にもつながるようなところがあり、重苦しい。

ライカ自身は当代の戦士で、おそらく母からその地位を引き継いだらしきことが物語からうかがい知れます。母はバードを憎み徹底的に戦いたいが、体は衰え、鬱屈した憎しみだけが日々募っている、そんなキャラクターとして描かれています。一方でライカはバードに対する恨み、そして戦いの連鎖を娘の代に引き継ぐことには否定的。その親子間の対立が本作では丁寧に描かれています。

そして、ライカの娘パピーとの関係性。ここもうまい。パピー自身は憎しみの連鎖を引き継ぐものとしても、それを断ち切った別の世界にもどちらにも進むことのできる純粋な存在としても描かれています。

ただし、いとこと叔父が殺され、バードたちに対し恨みをいただき、復讐の道を歩む方向に一歩足を踏み入れているところから物語は始まります。ライカは娘に普通に生きてほしい。一方の母(パピーにとっては祖母)はパピーをライカと同じようにバードへの復讐の戦いの先兵としたい、空気がありあり……。

いやぁな感じの家族関係が描かれているだけでなく、どうやらそれがゲーム本編のシナリオにも影響しているようで、ゲームが進んだ先にこの家族の物語がどのような決着を見せるのか、ドキドキしてしまいます。

加えてNPC達も魅力的です。個人的にはブルドックのギタリストとバーテンダーのコンビがお気に入りでした。ギタリストはバードに襲われ、右手と左足を負傷。自らの店を壊されたバーテンダーはショックで「俺のバーが」としかしゃべれなくなってしまうのですが、ゲーム冒頭のとあるイベントで彼らは希望の光を取り戻します。このイベントもまたいい。

本作は基本的には絶滅寸前まで追い込まれている、ライカたちの悲惨な生活が描かれているのですが、この絶望的な世界を描きつつうっすらと希望が差し込んできそうな描写が描かれているのもたくみ。

とにかく世界観、そしてキャラクターたちの心情面の描写が丁寧で、引き込まれます。言葉に力をいれているのか、日本語のローカライズも全く違和感なしの出来です。

ただ、「紛争」を扱い、シナリオや映像表現では、全くオブラートに包まず戦いの災禍が描かれる作品です。抵抗感を抱くプレイヤーもいるかもしれません。とはいえ少なくとも品質に問題を感じるものではないと思います。

バイク×メトロイドヴァニア=モーターヴァニアな ゲームシステムは斬新だがめちゃくちゃ難しい。

そして、肝心のゲームシステムは冒頭お話ししたように、広大なマップを動き回る、探索アクション。いわゆるメトロイドヴァニアになっています。

本作LAIKAが通常と異なるのは、主人公ライカのバイクアクションがメインとなっていること。移動、攻撃全てバイクの上で行われます。

操作は以下の通りで端的に言えば、バイクアクションとガンアクションが混ざったゲームですね。

・LT エンジンをふかす
・Lスティック 体制を整える(※例えば、進行方向と逆側に押せばウィリーができる。ジャンプ中に進行方向に押せば前回りができるなど また、ジャンプ中にバイクを動かすことで車体で敵の銃弾をガードできたりもする)
・Bボタン ブレーキ
・Xボタン ドリフトして方向転換(銃撃にジャストタイミングでドリフトすると弾を跳ね返すパリィ)
・Rスティック 照準を合わせる
・Rトリガー銃撃 長押しでバレットタイム発動※スローモーションになり、照準を当てやすくなる
・前回り パリィゲージを回復
・後ろ周り リロード

敵の攻撃こちらの攻撃(ボスは除く)ともに当たれば即死の危険な戦いの中で、ライカのモーションをいかに決め、敵であるバードを銃撃し、屠っていくかが求められます。華麗なアクションを決められた時はたまりません。バレットアクションでスローモーションにして、バンバン、とバードを撃ち、最後はパリィでバードが撃ってきた弾をはね返し、フィニッシュ。なんてこともできます。

ただし、操作がメチャクチャ難しい。まず、敵であるバードの数がこちらが一度にできるアクションの限界値に比して多いんです。

デモ版で遊べる未強化の状態だとライカが一度のアクションでできるのは銃撃2回、パリィ1回のみです。つまり3体以上の敵に阻まれるとリロードをする必要があります。

しかし、リロードは先述の通り坂などを使って空中に飛び上がり、回転ワザを決めないとできない。その間に銃撃されたら、敵の攻撃がうまくバイクの車体に当たらない限りは、一撃で命を落とします。

だから、敵を7体倒せ! みたいな序盤のしょーもないサブミッションでもきつい。奇跡のようなアクションが成功するかまで粘る。あるいはマップを把握して遠距離から攻撃を仕掛け、数を減らす牛歩戦術を取る。といった選択肢を取らざるを得なくなるんです。

これが結構ストレスでした。輪をかけて、移動も難しい。姿勢の保持が重要で、ちょっと前によろけたりしただけでライカは死にます。確かにバイクの運転は危ないけどそこまでリアルにしなくても、と思ってしまいましたよね。

これだけではありません。画面の見づらさも死にやすさに拍車をかけています。特にボス戦は顕著です。敵が巨大なので、相対的にライカが小さくなります。そこで、リロードワザを決めていると、ライカが上を向いているか下を向いているかわかりづらくなるんですね。敵の血を浴びて、全身真っ赤になっているとなおのことわかりにくい。そして、ちょっとへんな角度から落下すると即死です。

こんな感じでLAIKAでは、コントローラーを持つ左手では少しのミスで一撃死する操作を。右手ではリソース管理が要求され、かつ敵の攻撃を一度でも喰らえば死亡の高難度アクションを。それに加えて両手を使わなくてはいけないアクションも登場。しかも、すべてをそこそこのスピードでこなさなければならない。という曲芸のような操作を要求されます。それも常にです。

もちろん、死亡時のリスタートが早かったり、マップに点在するリスタートポイントをプレイヤーが自由に設定できるなど「死にやすさ」に配慮はされています。それでも筆者にはちょっと辛かったですね。

ただ、デモ版で遊べるのは本当に序盤です。アップグレードを解放するところまでは進めません。そのため、アップグレードでどのようにプレイ体験が変わるのかはわかりませんでした。少なくとも何らかのご褒美はほしいところですが、どうなるのか。

以上Laika: Aged Through Blood のデモ版を遊んだ感想をまとめてきました。発売は10月20日です。めちゃめちゃ期待している作品なので、できれば早く作品に触れたいですが、難易度の問題もあるので、少し悩んでいるところ。遊んでみたら、改めて記事にしたいと思います。

その他レビュー記事はこちらEMPTY SHELLデモ版 レビュー 北太平洋に浮かぶ孤島の研究所を舞台に繰り広げらるサバイバルホラーローグライクが最高

筆者プレイ動画

実況しながら遊んでいます。難しさにいら立っているところもありますがご容赦ください。

 

 

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