Dolmenレビュー SFホラーを取り入れた意欲作だがソウルライクの嫌なところばかりが目に付く

Dolmenゲームレビュー

この記事は5月21日に発売された、ソウルライクSFホラーアクション「Dolmen」のクリアレビュー(プレイ時間20時間弱)となっています。

端的に言うと、Deadspaceのような未知の惑星で異形の生物に襲われるSFホラー要素とソウルライクを合わせた意欲作ではありましたが、全体的に調整不足感がぬぐえず、ソウルライクの嫌なところが目に付く作品だと感じました。約4000円は正直高いです。

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Dolmen 高評価ポイント

以下では上述の評価に至った点を説明していきます。

Dolmenグッドポイント1 恐怖を感じさせる映像表現

Dolmenはソウルライクゲームを規定にしつつ、SFホラー的な映像表現

・閉鎖空間で異形の怪物に襲われる
・孤独な状況、味方は一人
・怪物によって変質させられた不気味な世界

等が通底している。既存作品としてはDeadSpaceなどをほうふつとさせる。SFホラーとソウルライクの融合は斬新だ。

・かどに隠れた敵から突然襲われる
・いきなり登場する強敵

といったソウルライクお馴染み要素も、プレイヤーの恐怖を引き立てるのに一役買っており、良い意味でのSFホラーとソウルライクが融合していた。

Dolmen グッドポイント2 遠距離武器の選択肢が広い

もう一つの本作の魅力はどのようなステ振りにおいても、遠距離武器が使えるという点にあるだろう。ソウルシリーズだと魔術師・呪術師などのクラス、あるいはそれに準じるステ振りでなければ、使いようがない能力だが、Dolmenでは、基本的にどのようなプレイスタイルでも遠距離武器=銃を使えるようになっており戦闘で使える選択肢は多くなっている。加えて、特に強敵では攻撃の隙が少なく、銃撃が重要になる局面も多い。こうした意図的に遠距離武器を使わせる設計は、戦術を考える深みを産んでいるように感じられた。

Dolmen 気になる点

ということでDolmenをプレイしていて魅力だと感じた点をまとめてきたが、割高感があると説明したように、Dolmenはよろしくない点の方が多いゲームだった。以下で見ていこう。

Dolmen バッドポイント1 移動速度が非常に遅い

これはかなりストレスだった。走る、ローリングなどのアクションはもちろんあるのだが、基本となる徒歩の移動速度が既存作品と比べてかなり遅い。

あくまで体感だが、ダークソウルなどの半分くらいに感じられた。後述する箇所とも重なる部分があるが、本作ではあらゆる面で調整不足感があり、何もないマップをひたすら歩き続ける、といった局面が少なくないため、余計にいらいらさせられてしまった。

Dolmen バッドポイント2 大味な戦闘

Dolmenはソウルライクをうたっているだけあり、いわゆる高難易度ゲームである。

だが、ソウルシリーズのような敵の豊富な攻撃パターンを把握して、戦略を立てる。特殊ギミックを解明する。武器の特性や戦闘システムを把握して敵に有利な攻撃方法を見つける。

こういった敵を攻略する方法を考える楽しさ、そして見つけた攻略法がはまったときの快感などはほとんど得られないタイトルといえるだろう。

ファイナルソードなどを含め、あまり完成度の高くない「ソウルライク」にありがちなのだが、高火力、モーションの隙のなさ(例やたらガード不能攻撃を仕掛けてくる、休まないなど)、硬い、回復する。といったシンプルなところで難易度(プレイ時間)を担保している節がある。手に汗握る戦闘というよりは、いかに間違えないでボタンを押せるか、ぐらいの楽しみしかないのだ。

加えて、このような雑さなので、レベルを上げて物理で殴ると簡単に倒せるようになってしまい、やりごたえがなくなってしまうという不満も感じた。ちなみに本作は2週目など敵が強くなる要素がないため、失われたやりごたえを取り戻すにはキャラを作り直す必要がある。これも残念だ。

Dolmen バッドポイント3 近接攻撃のモーション遅すぎ、隙多すぎ問題そしてヒットアンドアウェイ地獄に

また、そのほか戦闘にかかわる要素では、近接攻撃の”おかしさ”もストレスを感じさせた。Dolmenでは本家ソウルシリーズほどではないもののかなり武器種は豊富である。

レベルを上げて物理で殴れといった感じの武器から、毒などを食らわせるからめ手用の武器、連撃を決めるタイプのものなどがある。

だが、どれもモーションに一癖ある。端的にいうともっさりしていて癖が強く使いづらいのだ。たとえば、

両手持ちの大剣のような武器のダッシュ強攻撃は、ゆっくり武器を持ち上げてとびかかって攻撃(この間1秒くらい)

といった感じである。

非常に隙が大きく雑魚からも簡単に虚をつかれ、滅多打ちにされてしまう。

では遠距離攻撃を中心にすればいいかというとそういう話にはなりにくい。なぜかというと遠距離攻撃は火力が低めでメインの武器にはならないからだ。相手に対するデバフ効果があるので、決して無能な武器種ではないのだが、ボスの場合は遠距離攻撃をガードをしてきたり、ほとんどダメージが通らないこともあるのである。

ということでプレイヤー側はどうするかというと、敵も同様に隙が大きいのを狙いヒットアンドアウェイ戦法で戦うことになる。

特にボスにおいては先述したように、遠距離武器が有効ではないものが多い。終盤ではその傾向が顕著だ。そのため、終盤以降のボス戦では単調なヒットアンドアウェイ作業が延々と続いていく……。

ちなみにボスの攻撃力の高さや隙のなさはソウル風なので、ボスからの強烈な一発をなんとか喰らわないように単調な作業を続ける必要があり、つまらない上にストレスフルな戦闘が続いていくことになってしまう。

Dolmen バッドポイント4 なぜ取り入れたのかわからない防具の必要能力値

ソウルライクといえば、防具に筋力15、技量20などのように、装備するために必要な能力値が設定されており、必要な防具をそろえるために能力値をどう振り分けるか、という楽しみがある。

本作もご多分に漏れず、武器に必要能力値がある。加えて防具にも設定されている。これが非常にストレスフルだ。強力になるほど、必要能力値が高く、かつ、ソウルライクでいうところの「極振り」見たいなステータスでないと通常のプレイでは到達できない防具が多い。そのため一つのキャラでプ装備できる防具の種類が少ない。

ステータスの振り直し要素もないため、特定の種別の防具を装備すると決めたら、以降はそれに合ったステ振りを心がけなければならない。自由度があるように見えて不自由な仕組みになっている。

普通に各クラス専用防具にしておいて、周回とかをできるようにしておけばよかったのでは、と思えてならない。結局何をしたいのかがよくわからない要素である。

Dolmen バッドポイント5 よくわからないストーリー

ネタバレになるので詳述は避けるが、Dolmenはストーリーも雑だ。唐突で脈絡がない。プレイしていて、置いてきぼりになってしまうことが多かった。

冒頭はSFホラーと銘打っている通り、舞台となる惑星レヴィオン・プライムでの生物実験によって生まれた異形生物、化け物たちがはびこるいびつな世界に襲われる恐怖が描かれていく。だが、徐々に、宇宙の危機に立ち向かうヒーローもののようなストーリーが本筋であることがわかっていく。

こうやって書くとなんだか丁寧な同線があるように思うのだが、まったくそんなことはないのである。不気味な生物と戦っていたら、突然悪の親玉がいるらしい話が盛り込まれ、わけもわからぬうちに宇宙の命運をかけた戦いに巻き込まれて行ってしまうのだ。

ソウルライクといえば語らぬ美学のあるストーリーが魅力とされることも多い。本作もそんな魅力を踏襲しようとしたのだろう。だが、それにもしても語らない。ラスボスも含めて、どんな因果があって、なぜプレイヤーと対立して、といった細かな内容が理路整然と頭に入ってこないのである。とにかく説明不足だ。

フレーバーテキストもあるのだが、いわゆる

かゆ・うま

的な出来事の断片を追ったものが少し開陳されるのみだ。そのうえ要素と要素をつなぐものがほとんどない。結果として何がなんだかわからない印象を受けてしまった。もうちょっと、語ってくれよ……と言いたくなってしまう。

翻訳自体はあまりおかしなところがなかっただけに残念だった。「よんでますよアザゼルさん」というギャグマンガに

「残飯にキャビアかけても残飯だろうが!」

という名言があるが、まさしくそんな感じである。一つ一つの表現は巧みさを感じるものもあるのだが、全体の構成の雑さがすべてを台無しにしている印象だ。

Dolmen バッドポイント6 バグも多いし調整不足な部分も多い

そして、ここまで見てきてお分かりの通り、Dolmenは全体的に調整不足な点が多い。まず、少しプレイしただけでもバグが頻発。筆者プレイ時に何度か遭遇したものは下記の通りだ。

・壁、床にはまって動けなくなる。
・エレベーター起動後、床が抜けて下に落ちる
・エレベータなどのギミックが正しく動かず、出られなくなる
・一部環境でプレイヤーが透明になる
・敵が固まる

といった感じである。そのほかボスの攻撃が壁に吸われる、敵が攻撃後少し透ける。なんの要素もないマップがある。といった細かなものまで上げると枚挙にいとまがない。

Dolmen バッドポイント7 ソウルライクじゃなくてよかった問題

さて、ここまでいろいろとDolmenをプレイして、欠点だと感じた点をとうとうと述べてきた。個人的に最も言いたかったのはこの部分である。

本作は世界観や細かなマップ雰囲気は非常にソウルっぽくできている。プレイヤー心理を突いた敵の配置。絶妙に配置された落下ポイント。語らないストーリーなどなど。とにかくソウルライクが好きなプレイヤーならよくみたあの奴がたくさん出てくる。そして、一つ一つの要素の完成度は決して低くない。

だがしかし、これらがすべて本作のデメリットとかみ合ってしまっているのである。例えば、バグってモーションが止まっているときに敵の攻撃で吹き飛ばされて落下したり。プレイヤーが透明になっていて場所がわからず、そのまま落下したり。

緩いモーションの隙をつかれてプレイヤーを待ち受けていた敵に滅多打ちにされたり。壮大なストーリーがあるように見せて、物語をつづるテキストがソウル風味で断片的なものにとどまっているため、何が何だかわからなかったり。

無理をして壮大なソウル的タイトルにするのではなく、シンプルなSFホラーアクションにしていればよかったのでは? と思えてしまう。

意欲的な作品だっただけにかなり残念。4000円代という価格を考えると、厳しい気持ちを抱かざるを得ない。まだソウルライクをプレイしたことがない方は最近のElkdenRingなど本家をプレイするか、評価の高い「Hollow Knight」「Blashemous」など2Dソウルライクをプレイした方がいいと思う。

ソウルライク好き、ファイナルソードとかも平気でプレイできるぜ! という方なら、プレイすることは止めない。私自身もその口で本作を手に取った。とはいえフルプライスで買ってやろうぜ! とまでは言えないのが本音である。割引になってから、また諸々の不具合が調整されてからプレイされた方がいいのではないかと思う。

以上

ボス攻略などをまとめた記事はこちら

 

 

 

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