G-modeアーカイブス+新約ラストバイブル3レビュー 新約シリーズ完結作。システム面は快適になったがシナリオ周りは大味 

ゲームレビュー

11月24日発売のG-modeアーカイブス新約ラストバイブル3をクリアしたので感想をまとめておきます。

端的に言うと、前2作に比べグラフィック、移動速度、エンロール、会話周りのシステムなど気になっていた点が改善された作品になっています。

シナリオに関してはは前作、前々作で見られた女神転生シリーズをほうふつとさせるダークなものではなく、オリジナルのラストバイブルに近いシンプルな勧善懲悪的なものになりました。

また全編を通し、前作、前々作をプレイしていることが前提の論理の飛躍や説明の省略が多く、この点は評価が分かれるかも。

加えて、やりこみ要素には一点非常に気になる問題(あるいは仕様?)がありました。(この点に関しては改善方法がわかれば別の記事などで追記したいと思います)

前作新約ラストバイブルⅡのレビューはこちら

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新約ラストバイブル3 シナリオ概要 正直かなり大味で前作、前々作をプレイしていないと楽しめないかも。

舞台となるのは辺境の惑星ダミール。平和な惑星だったのだが、物語が始まる数か月前から人間を襲う謎の存在「魔獣」が出現。人々は魔獣の脅威にさらされていた。

主人公はダミールのはずれにある「シフル村」に住む17歳の青年だ。親を知らずに育ったものの、村人に愛され、幼馴染で村長の娘「エルザ」と親しい関係にあり、幸せに暮らしていた。

しかし、ある日主人公は魔獣を使役する力を持つ謎の腕輪「COMP」を見つけてしまう。COMPは魔物を使役する力を持つ一方、まるで呪いのように持ち主である主人公の手から外れず、そして、魔物のひきつけてしまうものでもあった。

シフル村を魔物の脅威にさらすことはできないと感じた主人公は一人、COMPを探す方法を求めて、ダミールを旅することになる。

道中であう、時空を旅することのできる大魔導士エイボンの助けを借り、時空の歪よりやってきた少女アリシア、少年レオニードを旅の仲間にしながら、歩む主人公。次第に彼は世界の創生をめぐる戦いに巻き込まれていく……。

といったのがざっくりまとめたシナリオなのですが、正直なところ女神転生的な創生をめぐる神々の戦いをファンタジー世界で再現した新約ラストバイブルⅠ、生きることの苦悩それから解放されるべきかいなかという命題、仏教の世界観などを盛り込んだ重厚なシナリオである新約ラストバイブル2に比べると、非常に大味です。

まず前提として1、2の世界観、つまり舞台背景にある宇宙創成の力を持つ「適格者」としての存在をかけた大いなる戦い。傍観者としてかかわる大魔術士「エイボン」の存在をプレイヤーが理解している前提で物語が進んでいきます。

これまでのシリーズとことなり魔獣がそもそもどんな存在なのか、魔獣を使役する人間の「ダミール」での立ち位置などは細かく描かれません。

また、主人公が旅に出る動機周りも説明不足です。

例えば、新約Ⅰでは星の守り手である「ガイアマスター」候補生である主人公が星を守る存在であるガイアマスターになるべく各地で研鑽を積むところから物語がスタートし、その後衝撃的な「種明かし」のようなものがあり、物語の根本である創生の戦いが始まります。

新約Ⅱでは主人公の妹が命を奪われ、その復讐という大きな目的が提示され、その旅の中で「生きることそのものの苦悩」など、壮大なテーマが描かれていきます。

こういった具合で新約ⅠⅡともに、導入が非常に明瞭で、かつその後に「大きな転換点がある」という構成になっているのですが、その続編であるⅢではまず主人公の立ち位置がかなり不明瞭。物語が始まる目的も魔物を引き付けるCOMPを持っているから、村にいると迷惑が掛かるので旅に出る。くらいのものしかありません。

旅を彩る仲間たちも、Ⅰでは同じガイアマスター候補生が、Ⅱでは主人公と同じように「出生の秘密」や「それぞれの苦悩」を抱えた者たちが選ばれるのですが、Ⅲではそういった脈絡はなく、ⅠⅡの時空からやってきただけ、という説明しかなされません。

また、敵役に関しても明確なものはおらず「ジェイル」という、少年漫画にでてくる「血が好きな」キャラを煮詰めたような濃い存在は出てくるのですが、そのほかは薄味です。また、シリーズおなじみの黒幕も出てくるのですが物語にはあまり絡んできません。「メタ的な存在」というか1,2も遊んだんだからわかっているよね、くらいの説明しかなく、なぜ主人公と戦うのか、その説明が3の舞台である「ダミール」とはあまり絡まってこないのです。

全体的にⅠⅡを遊んでいないとわからないところを説明しない節があります。筆者自身はⅠもⅡ遊んでいるので「ここがそうなるのか」とか「あの要素ね」と腑に落ちるところはあり楽しめたのですが、Ⅲから遊ぶ人は置いてきぼりになるシナリオだと感じてしまいました。

この点はフィーチャーフォンで月額いくらで遊び放題(確か月額540円のメガテンαに登録していると遊べたタイトルのはずです。記憶がおぼろげなので誤っていたら訂正いただけると幸いです)出ていたシリーズでナンバリングタイトルを個別に遊ぶことはあまり想定されていなかったことが要因なのかもしれません。

新約ラストバイブル3 システムその他概要 新しい要素は盛り込まれたものの、微妙

システム自体は既存作品と大きな変化はありません。通常のコマンド選択RPGを踏襲しながら、敵キャラクターである魔獣を仲間にできる「会話システム」、魔獣を合体してさらに強力な魔獣を生み出す魔法「コンバック」の存在がラストバイブルシリーズのオリジナル要素ですが、そこは大きく変わりません。

ただ、いくつかアップグレードされています。その一つが「服従アタック」です。ラストバイブルシリーズでは「会話」を通さないと魔獣を仲間にできないのが通例。しかし、この会話は基本的に容量の都合からか「パターン」は全て同じで、慣れてくると作業になってしまうんですね。だから、ゲームを進めていくと飽きてしまう。

その点服従アタック(大ダメージを与えて撃破すると、会話せずに確率で仲間になる)仕組みは飽きを越させないようにする仕組みとしてはありだと感じました。

ただ、要はドラゴンクエスト5の「起き上がってこちらを見ている」と同じシステムですし、細かな要素がゲーム中に説明されないこともあり、例えば100回以上戦っても、まったく仲間にならなかったりと、プレイしている前に感じていたほど便利ではなかったのが気になりました。

難易度は新約2よりは優しいものの相変わらず難しめ

そして新約シリーズのもう一つの特徴としては、一見オーソドックスな見た目でありながらも「ステ振りを吟味しなければならない」「バフ、デバフ、バッドステータス付与アイテム・魔法を理解していないと攻略が難しい」といった点で力を挙げて物理で殴るがあまりやりづらい、硬派な難易度のタイトルなのですが、その点に関しては新約ラストバイブル3は相変わらずとなっています。

ステータスを振りなおすアイテム「新生龍」やダメージ倍率アップのアクセサリーなど新約Ⅱで登場したアイテムは流用しつつ、若干難易度は易化しており、遊びやすくはなった印象です。

ただ、既存作品と異なり、仲間のレオニード、アリシアが「脳筋タイプ」なのか「知力」タイプなのかがグラフィックではわかりづらいというのが落とし穴ではありました。

グラフィックは大幅に向上、歩く速度も速くなり全体的に快適に

また、細かなシステム周りは変わっていないものの、一部魔獣のイラストが一新されグラフィックもよくなるなど、映像周りは改善されています。特に終盤戦うことになる「天使たち」のぐらはかなり良かったですね。

また、移動速度も前作前々作では、遅くストレスになるネックポイントだったのですが、体感でいうと倍速くらいになっており、移動の遅さを感じることはありませんでした。ただ、全体的にマップが広大になっており「迷いやすさ」が生まれていたので、その点は一長一短あるでしょう。

新約ラストバイブル3 やりこみ要素 全体的に遊びやすくなっているものの、不具合? の存在でプレイ時に悲しい事態に……

そしてシリーズで毎回あるやりこみ要素も大きな変更点はありません。魔獣を集める魔獣図鑑がその一つです。エンロールと呼ばれる魔獣図鑑に魔獣を登録する魔法をつかい埋めていくことで数に応じて魔導士「エイボン」から特典をもらえるシステムです。

ただ、ここも微妙に遊びやすく改善されています。魔獣図鑑のシステムはシリーズを通して制約があり結構面倒だったんです。まず魔法「エンロール」は「確率」で成功するもの、つまり雑魚敵だろうがボスだろうが確定で魔法が決まらないので登録されるまで唱え続ける必要があります。加えてシナリオ上一度しか戦わないボスの場合はエンロールせずに倒すとやり直しになってしまうので、とにかく面倒。それを知らずに倒してしまって終盤やりこみ要素に気が付いたときには「最初からやり直しせざるを得ない」と結構優しくないシステムだったのです。

新約ラストバイブル3ではこの点が大幅に改善されていました。端的に言うと、以下のような変更が加えられています。
・エンロールは発動すると確定で成功
・ボスはエンロールを使わなくても登録される

というこでとても遊びやすくなっています。しかしながら、やりこみ要素の最後でかなり大きな問題がありました。

やりこみ要素である裏ボスと再戦ができない……?

ここからはクリア後のネタバレになってしまうので、未プレイの方は注意してください。

本作新約ラストバイブル3では、クリア後のエンドコンテンツダンジョンを進め、ボスキャラクターを含め最後の1枠以外の図鑑のページを全て埋めたうえで所定の手続きを経るとエンドコンテンツにふさわしい強敵と戦うことができます。その勝利特典が図鑑の最後のページになっているのですが、その強敵、どうやら勝っても、負けても再戦できないようなのです。

勝てば、別に図鑑は全てうまりやりこみ要素は完結、ということで、まあ問題はないのですが、筆者の場合は負けてしまい、再戦ができず「詰んだ」状態になってしまっていました。

再度同じ手順を踏めば再戦できるのかと思いいろいろやっているのですが、フラグは一切立たず。別のセーブデータからやり直す羽目になりました。

解決方法は今のところ不明。新約ラストバイブル3が配信されていた当時(2010年頃)の掲示板の書き込みなどを見ていても、類似のケースはなかったようなのですが、果たして、何が問題なのか。これが仕様であるのなら、かなりひどいなぁと思ってしまった次第です。

新約ラストバイブル3 総論

というわけで、新約ラストバイブル3をプレイした所感をまとめてきました。ゲームそのもの内容としては、ゲームシステムはシリーズ未プレイの新規そうでも遊びやすいように細かい点が改善されています。一方でシナリオ周りでは前作前々作をプレイしていることが前提の省略、飛躍が見られ、何を狙ったのかがわからない印象を受けました。

個人的には本流である女神転生も含めた、シリーズのファンなので、楽しめたのですが、フィーチャーフォン用のサイトで540円くらいで配信されていた当時ならいざ知らず、シリーズに思い入れのない新規プレイヤーが1800円×3で5400円払う必要があるゲームかというと微妙かも。

また、先ほど説明したやりこみ要素最後の仕様(不明ですが)に関しては、怒りにも近い感情が沸いてきています。おそらく当時であれば不具合も修正できたのでしょうが、今は単純に権利を買い取って再配信しているような状況でしょうから、大幅な改善は見込めないでしょう。終わり良ければ総て良しという話がありますが、その逆はつらい。

 

 

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