映画「エリア51」レビュー オーレンペリ監督が贈るSFモキュメンタリ―ホラー あらゆる要素がちゃちなので、映画に入り込めない

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ネットフリックで配信されていた「エリア51」の感想をまとめておく。簡単に言うと未知との遭遇の恐怖を描いたSFスリラーで雰囲気はよかった。だが、低予算で作っている感とエリア51という題材の掛け合わせがうまくいっておらず、すごくつまらない出来になっていた。

以下で細かく振り返ってみたい。

製作は「パラノーマル・アクティビティ」や「インシディアス」シリーズで知られる、オーレンペリ監督。手法としてはパラノーマル・アクティビティ等と同様低予算のモキュメンタリ―だ。

アメリカネバダ州の砂漠に鎮座するアメリカ空軍が所有する軍事施設「エリア51」。公式には、アメリカ空軍のネリス試験訓練場の一地区を指す。このエリア51は機密性の高い航空機の訓練・実験の場となってきたとされ、そのこともあってか2013年になるまで存在は公にされてこなかった。

そのため、エリア51をめぐって長らく「UFOの研究にたずさわっている」だの、「地下の実験施設でティラノサウルスのクローンを育ている」だの数々のオカルトチックな陰謀論がささやかれてきた。詳細は月刊ムーとかによく書いてあるので、気になったら読んでほしい。本作はそんなエリア51を舞台に、登場人物たちと宇宙から飛来してきた「なにか」との遭遇を描いた作品だ。

主役となるのはエリア51周辺でささやかれる「エイリアンを見た人間が基地に連れ去られている」という謎の真相をカメラに映すべく活動する「陰謀論系動画投稿者」の3人の青年たち。メンツはリーダーで正義漢っぽいが実は一番やばい奴だったリード、運転役でただただ迷惑ごとに巻き込まれていくベン、撮影役であまりいいところのないダリルと結構頼りない。

そんな彼らだが、ネバダ州各所を周り取材を進めていく中で、父がエイリアンを見たことでエリア51に連れ去られたと主張する女性「イェレナ」と出会い、徐々に真相に近づいていく。

真相に近づく彼らを見透かすように、起こる怪現象の数々。徐々にリーダーのリードはおかしくなっていき、エリア51へ異様なまでの執着を見せるようになる。最後は職員と思しき人間の自宅に忍び込みIDカードを盗み出す、なんて犯罪まで犯してしまう。

そんなリードの姿を見て、3人の結束が揺らぎそうになるのだが、リードが無理やり説得。ずっこけ3人組にイェレナを加えた、4人はついにエリア51にたどり着く。

「UFO」と思しき謎の乗り物や「反重力物質」など噂に聞いたブツを目にし、確信を深めていく4人だがエリア51の深淵には宇宙から来た「ヤツら」が潜んでいた。って感じが全体の流れだ。

こんな流れなんだけれど、とにかく前置きが長く、ホラー映画としてのトロの部分に当たる「エリア51侵入後」の流れがめちゃくちゃ短い。

じゃあ導入部分が面白いのかと言うと、別にそんなことはない。単なるつなぎがひたすら続くし、ただ侵入用の道具を愛でるだけとか、モキュメンタリ―でなければ必要ないようなシーンも多く、見ていて疲れる。

唯一エリア51職員の自宅に忍び込むところだけはモキュメンタリ―の良さを駆使したハラハラするシーンがあるのだが、結局何も起こらず肩透かしを食らってしまう。

そんな「焦らし」が1時間以上続き、後半にやっとトロであるモキュメンタリ―を駆使した恐怖シーン満載の「エリア51侵入」が始まる。

宇宙船の内部からの映像など、モキュメンタリ―ならではの映像表現もよかったが、特に好みだったのが未確認なブツの扱い方だ。

新入中盤以降は「重力を無視し跳ね回る石」「動き回る白い謎の液体」など人知を超える奇妙なオブジェクトが出てきる。画質の悪いカメラで撮っている風の演出が「未知との遭遇」によって好奇心と恐怖の間で揺れ動く撮影人の気持ちや、オブジェクトの不気味さにつながっていてよかった。

個人的にはジャンプスケアは無理やり驚かされているようで時折不快に感じることもある。だが、本作は監督お得意インシディアスやパラノーマル・アクティビティのようなジャンプスケア要素満載ではなく見やすかった。

ただ、不気味ではあるものの全体的には突っ込みどころが満載で、素直に怖がれないのが残念だった。すでに多くのところで言われているが、エリア51の警備がザル過ぎるのである。

「恐ろしい秘密を扱っている!」という演出をしているのだが、IDカード一枚で誰でも入れてしまい警備員によるチェックもくそもない。

監視カメラは映画の演出上都合の良い場所しかない。さも恐ろしいもののような扱いを受けている「うごめく白い液体」も素人が素手で開けられる圧力釜のようなものに押し込められていてちゃんと管理されていない。「侵入してくれ」「荒らしてくれ」と言わんばかりだ。

この突っ込み要素が笑えればよいのだが、そうはなっていない。本作はシリアスな作風なため「くすっ」と笑えないのである。どちらかというと「予算たりなそうだな」「ここは無理やり終わらせたかったのかな」「大変だな」といった感じで製作陣に思いをはせてしまう。

馬鹿さもなく、怖さも中途半端で、迫力のあるカットシーンもない。個人的にぐっと来たのは雰囲気だけだった。正直に言うと全体的に盛り上がりに欠け、ただただつまらない映画だったと思う。imdbとかで4点台を出しているのも納得のでき。雰囲気はいいだけに残念だった。

ちなみにトレイラーはこんな感じだ

 

 

 

 

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