Atomic Heart レビュー偽史ソ連SF世界が広がるFPS、作りは甘いところあり

ゲームレビュー

今回は、Atomic Heartをクリアしたので感想をまとめたいと思います。(プレイ時間約20時間、難易度ノーマル)

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Atomic Heart ついに完成

Atomic Heartはもともと2017年頃から、イメージアートなどが出ていたのですが遅々として開発は進まない作品でした。果たしてどうなるのか、そもそもできるの? なんて思っていたのですが、ロシアのスタジオとしてはある意味微妙なこの時期についに完成となりました。発売は2023年2月21日開発はMUNDFISHです。

本作の概要として、触れなければならないのが、冒頭語ったように本作が今渦中のロシアモスクワにあるデベロッパーによって開発されたということ。プレイ前はいわゆるプロパガンダ的な要素があるのかなと、若干引いた未目で見ていたのですが、どちらかというと旧共産圏がそのまま進んでいたら、こんなひどいことになったよね、といった皮肉が効いているものになっていました。正直なところ、今のロシアでこんなの作って大丈夫? という不安も感じます。かなりチャレンジングな一作です。(※Automatonなどが報じたところによれば、ウクライナ側からは発売停止措置を求める動きがあるようです)

舞台は1950年代のソ連。いわゆる偽史SFものです。ソ連はポリマー技術やロボテックが異様に修練進化しており、世界の覇権を握りそうな勢いになっています。主人公はソ連、および東側諸国を代表する科学者サチノフの「汚れ仕事」の右腕であるエージェントP-3です。

サチノフの研究の髄を凝らしたロボットと人間の共生社会が築かれている3826施設で突如ロボットが暴走、人間に襲い掛かる地獄絵図が繰り広げられることに。偶然そこに向かっていたP-3は事態を収束させる、暴走するかつては人間とともに暮らしていたロボットたちを、相棒のしゃべるグローブ「チャー・ルズ」とともに蹴散らしながら、諸悪の根源とされるエンジニア、ペトロフの影を追うことになります。

ゲームシステム はオーソドックスなFPS

ゲームはバイオショック的なオーソドックスなFPSです。武器はナイフなどの近接武器から、ピストル、サブマシンガン、ショットガン、ロケットランチャーから、レールガンまで。基本的にはお馴染みな武器が勢ぞろいという印象です。

ただ、名称など若干ソ連要素が盛り込まれています。棒切れにチェーンソーの歯を二つつけて振り回す、金属バッドを魔改造したような武器、ズヴェズトーチカなどハイテンションなものが多く、結構笑えますね。

武器は道中にある設計図を拾って、3826施設各所にセーブポイントと一緒におかれた妙に色っぽい声で話す郵便ポストのようなお助けロボ「ノラ」にクラフトしてもらうかたちです。

もう一つが戦闘のための能力が相棒チャールズを使った能力で、こちらも敵を浮かせるテレキネシスや感電させるショックなど、よくありがちなものです。

そんな一人と一つのまえに立ちはだかるのが、暴走したロボたち。

みな、もともと、人と共生するために作られているので見た目がかわいいのですが、バグった結果、かわいらしい見た目を駆使して「全力で人間を殺す」動きをしてくるのが良いですね。

最も目にすることになるのが、施設の案内や警備などを任されている人型のロボ・ラボテックです。ちょびひげが付いたフザケタ顔なのに、カンフーマスターもびっくりの足技・手わざに顔をパカっと開いてレーザービームを繰り出してきます。

こんなん誰が考えたんだよ!

と言いたくなるような、個性的な敵ばかり。基本的な戦闘システムは目新しいものではないのですが、この個性的な敵がAtomic Heartの大きな魅力だと言えるのではないかと思いました。

ショットガンやサブマシンガンをぶっぱなしながら、敵を退け、箱庭である3826施設をうろうろし、「展示会場」や「劇場」など、ロボットがはびこりダンジョン化したかつての名所に潜り、ロボット騒乱を解決しつつ、物語を進めていくのが大まかな流れとなります。

箱庭とは言ったもののあまり自由度は高くありません。先ほど例に挙げたバイオショックのようにストーリーは一方通行です。こちらは良い意味での古臭い。

ただ、探索が楽しめないかというとそうではありません。やりこみ要素が設けられています。武器を試す場所として設けられていたとされる秘密の「試験場」が3826施設には設けられています。一筋縄ではいかない場所に入口があったり、謎を解かなけなかったり、これが結構楽しいんです。クリア特典は武器を改造するアイテムの設計図になっています。

事前にマップで「この試験場では何が手に入るか」が明記されており、とりもらすことがないよう工夫されている点も好印象でした。

色々書きましたが、やっぱり魅力は舞台設定かなと思います。ロボットもそうですし、3826施設の修練進化したハイテクながらもどこか懐かしさを感じさせる町並みはたまりません。加えて、予算の都合でNPCがほぼ登場しないのだがロボットが暴走してほぼ皆殺しに殺されてしまった、という力業で解決しているのもグッド。繰り返しになりますが豊富なバリエーションのロボットもよかった。

ラボテック以外では、顔がないし、肝心なところは隠れているのに妙に色っぽいバレリーナロボは必見です。おそらく開発者の趣味だと思いますが、立ち居振る舞いから、設定まで非常に卑猥です。

Atomic Heartの気になる点

最後に何点か気になる点を

まず、バグが多かった。時に挟まって抜けられなくなる、謎の空間に落ちるというバグがそれなりの頻度で発生しました。

ゲームプレイが不能になるものではなかったのですが、本作のセーブ箇所の少なさ(特にオートセーブが少ない)もあいまり、前のセーブポイントからも次のセーブポイントからも離れている箇所や要所を抜けセーブする前、などにバグが発生しやり直す、というかなりストレスのたまる不具合も起こりました。この点は留意が必要でしょう。

また、画質の面ではロボットや背景のアセットなどにはかなり気合が入っていたのですがキャラクターはアニメーションの際も表情が硬く、演技に顔が追い付いていないなど、悪い意味で古めかしいです。

背景設定も人が乗れそうな自動ドローン、自己学習できそうな人工知能が乗っているロボットが登場するのにディーゼルで動くような車が普通に使われていたりと、意外と突っ込みどころが満載。高尚なSFっぽい雰囲気を纏っていますが、「大統領ゲー」とも言われた「メタルウルフカオス」のようなテンション高めのバカゲーの要素が強いです。

ヘンに進化したソ連、ロボットで発展、ロボット暴走で無茶苦茶になる

バーン(アップで映る登場人物の顔) バーン(アップで映る凶悪なロボット) バーン(アップで映る死体)

みたいな雑で大仰な展開を時に笑いながら楽しめられれば、最後まで一気通貫に楽しめる作品ですが、気になってしまう人は気に気になってしまうのではないでしょうか。

その他にも、様々な点で遊びづらさが見られます。以下はプレイ中感じた不満点

・画角が狭く、敵がすぐに視界の外に消える
・キャラのモノローグが異様に長く、コメントを診るのに時間がかかるが、あとから読み飛ばしたシナリオを診られるなどの救済措置は特にない
・敵のリポップが異様に早く、フィールドでは敵を排除してゆっくりと探索することがほぼほぼ不可能

といった点です。全体的にこんにちのゲームとしては些か古いところがあります。これらの点を受け入れることができれば十分に楽しめるでしょう。

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