2021年12月16日にコンシューマー版(PS4/5 Nintendo Switch)が発売開始となった2D 探索アクションゲーム「ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンス」をクリアまでプレイしたので、感想をまとめておく(プレイ時間6時間前後)。
原作はライトノベルの元祖とも言われるファンタジー小説「ロードス島戦記」(角川文庫)シリーズ。本作は騎士パーンや永遠の乙女の異名を持つエルフディードリット達が主役の「ロードス島戦記」(1988~1993)その前日譚を描いた「ロードス島伝説」(1994~2002)そしてロードス島戦記の続編にあたる「新ロードス島戦記」(1998~2006)、「ロードス島戦記 誓約の宝冠」(2019~)4つのメインとなるシリーズがこれまで刊行されている。
この「ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンス」は新ロードス島戦記とロードス島戦記 誓約の宝冠の間にあたる語られぬ空白の期間が舞台であることが公式から明らかにされている。
主人公は永遠の乙女ディードリット。彼女は謎の怪物が跋扈する迷宮で目を覚ます。何故、迷宮にいるのか、そもそもこの迷宮はなんなのか、一切の記憶がない。彼女は脱出を目指し、迷宮をさまよう。道中ではともにロードス島で闘ったドワーフの「ギム」、魔術師の「スレイン」、盗賊の「ウッドチャック」らがディードリットを手助けするのだが、何か様子がおかしい。
彼女を待ち受ける過去に戦った強敵たち。そして宿敵であるダークエルフ「ピロテース」やロードス島での「光と闇」の戦いの影で暗躍していた灰色の魔女「カーラ」との開墾を通して、ディードリットは自らに何が起こったのか、謎の迷宮が存在する意味とは、そしてその背景にある、思い出したくない彼女の”記憶”を紐解いていく。
というのが大まかなストーリー。
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンス 剣と魔法を駆使したアクションが魅力
すでにPC版が出ていたことで周知されているかもしれないが、ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスは2D探索アクションゲーム、いわゆる「メトロイドヴァニア」タイプのタイトルだ。
プレイヤーは「永遠の乙女」ディードリットを操りながら、迷宮を探索していく。ディードリットのアクションは剣技、弓技と魔法がメインだ。
剣は攻撃ボタンを押すことでバッタバッタと切り倒していく爽快感のある操作になっている。コンボなど、難しい操作はなく、スティックを上に倒したり、跳びながらでも攻撃ができ、簡単。ガチャ押しでも敵を圧倒できる。
ただし、道中手に入る武器には攻撃力の他に敏捷性のステータスもついている。敏捷性が高いほど早く触れるというわけだ。傾向としては、敏捷性が高い武器ほど攻撃力は低め、攻撃力が高い武器ほど敏捷性は低めに設定されており、手数を取るか一撃に欠けるか、両者のバランスをとるのかがプレイヤーにゆだねられており、ただガチャ押しだけでない考える余地を残している。
もう一つの武器が弓だ。弓は弓用の攻撃ボタンを押すと、その場にとどまり弦を引くモーションが始まり、十字ボタンで、方向を決めると放つことができる。連打ができるほか、武器によっては敵を追尾したり3方向に矢を飛ばすことができるものもある。
ただし、剣に比べると総じて攻撃力は弱めで、前述の通り、動きながら打つことができないという仕様のため、敵を倒す際の武器というよりは、道中にある弓によって起動できるギミックを解除する時に使う道具といったニュアンスが強い。
剣や弓は迷宮の要所要所に落ちているほか、特定の敵を倒す際一定確率でドロップすることもある。後述するが本作はそれほどボリュームはないのだが、数少ないコレクション要素と言えるだろう。
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスのアクションのもう一つの醍醐味が魔法だ。エルフのディードリットらしく、ウンディーネやドリアード、ウィルオーウィスプなど風や光、大地などの属性をつかさどる精霊たちの力をかり、多種多様な攻撃を繰り出すことができる。
魔法の力はそれだけに及ばない。道中、ディードリットに力を貸す、炎の精霊、風の精霊の力を剣にやどすことができるのだ。炎の精霊、風の精霊、どちらの精霊を宿すかは特定のボタンで切り替えることができる。
敵にも相性があり、例えば竜の力を宿しているリザードマンや炎の精霊をやどしているときには一切攻撃が入らないが、風の精霊の力を借りれば、攻撃が通る。逆にハーピィのように自由にそらを飛ぶモンスターには風の精霊を宿した攻撃は聞かないが、炎の精霊を宿せばその羽を燃やし尽くすかのように、強烈な攻撃をくらわすことができるようになる。それはディードリットでも同じで、例えば炎の精霊を宿しているときにはドラゴンのブレスなど炎の攻撃を無効化し、吸収することで、MPを回復することもできるというシステムになっている。
また、精霊を宿している間は敵を倒せば倒すほど、もう一方の精霊の力を強めることができる。レベルは全部で3まであり、一段階上がるごとに剣の力を強くすることができる。ただしダメージを受けると、レベルが下がってしまうため、いかにして敵の攻撃を回避して、レベルを維持し強烈な攻撃をたたき込み続けられるかが要求される。
武器と同じく、魔法をつかさどる精霊たちは道中に落ちている。メトロイドヴァニアらしく、単に攻撃能力が手に入るだけでなく、道中には精霊の力を強くして二段ジャンプができるようになるなど、新たな道を作るためのアイテムも落ちており、アイテムを使うことによって探索範囲を広げていく面白さがある。
こうした剣と魔法が主軸のゲームがロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスだ。遊び心地としては、メトロイドシリーズよりは月下の夜想曲以降の悪魔城シリーズに近い。同シリーズが好きなプレイヤーであればかなり楽しむことができる作品だろう。
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスはボス戦が魅力
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスのマップは全部で6つのエリアに分かれている。メトロイドなどのように、ステージを行きつ戻りつしつつ新たな場所を開拓していくというよりは、一本道のゲームだ。ストーリーに合わせて徐々に探索範囲が広がるような流れになっている。
正直にいうと、全体的にこじんまりとしており、探索要素は少ない。普通にプレイしていれば、魔法を生み出す精霊は全て集められてしまう。武器も要所でアイテムを販売してくれるドワーフの「ギム」の力を借りたり、ストーリー上必ず手に入るものを使えば攻略に難はなく、わざわざ集めるほどのものはない。また、ネタバレになるが、いわゆるエンドコンテンツ的なボス、隠れキャラといったものもない。
ではなにがロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスの魅力か、一つは先述した完成度の高い、剣と弓、魔法を駆使したアクションだ。もう一つが巨大で美麗なドットで描かれるボス戦だろう。ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスではエリアごとに2体ずつボスが配置される仕様になっている。
巨大な魔竜シューティングスター、宿敵ピロテース、そして過去の仲間たちなど勢ぞろい。巨大な異形のボスは、画面全体を埋め尽くすような弾幕攻撃を仕掛けてきたり、人間のキャラは武器を取り換え魔法を繰り出し攻撃してきたりとその攻撃方法も多彩だ。
難易度調整も絶妙で、初見で何も対処をせずボスに挑めば当然のように返り討ちになるのだが、攻撃パターンを覚えたり、精霊魔法を切り替えて、ボスの隙、属性に合わせてより強力なものを探したりすることで巧妙見出すことができるようになっており、工夫をしながらプレイする楽しさがある。また、どんなに強いボスでも、10分20分と倒すまでに膨大な時間がかかるものもいないのもよかった。死亡しても繰り返す面倒さがないのである。
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスのボリュームは全体的に少ない
ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスは完成度の高い作品だ。ロードス島戦記のストーリーを知らなくてもゲーム、そしてその背後にある物語を楽しめる作品と言える。そんなロードス島戦記ディードリット・イン・ワンダーラビリンスだが、ゲーマーとしては気になる点もある。正直にいうとボリュームがかなり少ないのだ。
アクションゲームに慣れたプレイヤーであれば2,3時間でクリアできてしまうだろう。一応ボスラッシュというエンドコンテンツもあるのだが、各ボスの攻略パターンはある程度定まっているため、意地になって数分、数秒単位で縮めたいRTAが好きなプレイヤーであれば別だが、普通のプレイヤーがそこまで心血削って遊びたくなるようなものではないと感じた。この点は購入を検討する方は留意しておいてもいいだろう。
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