ARTIFICEデモ版 レビュー 体験版だけで6時間も遊べる古き良きJRPG!しかし、JRPGゆえのダルさも

ゲームレビュー

Steamにデモ版が来ていたRPG、ARTIFICEのデモ版を最後まで遊んだので感想をまとめておこうと思います。

端的に言うと80年代後半から90年代後半ごろまでによく見られたクラシカルなJRPGの雰囲気・システムを踏襲したゲームといった感じです。特にスーパーファミコン期のゲームの息吹を感じます。

非常に完成度は高く、FF6とか、クロノトリガーとか、制作陣があの時代のゲームを愛しているのがよく伝わりました。

一方で当時のJRPGの難点を感じさせるゲームでもあり、発売までにそのあたりの改善を期待したいところ。

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ARTIFICE概要

開発はMatt Makes Games LLC。名作プラットフォーマー「Celeste」を手掛けたスタジオ「
Matt Makes Games」と名前がそっくりですが、開発者のTwitterアカウントを見る限り、アメリカシアトル在住だったり(Celesteの製作陣はカナダ)、そもそも、最近アカウントを作っていたりといった感じで関係性はないようです。

自分の名前に見合ったスタジオ名を作りたかったけれど、すでにあったからLLCとつけたといった感じなのでしょうか。

プレイに関してシナリオやシステムなど細かな概要は後で説明するとして、大まかなところは下記のとおりです。

・パッドにも対応
・難易度調整 イージー、ノーマル、ハード、ベリーハード
・その他セーブポイントに到達すると、回復するかしないかなどの調整ができる

といった感じで、現代的な遊びやすさはある程度担保されていると思います。
現状で日本語は未対応です。以下シナリオなどはDeepLの翻訳などによる筆者の意訳となっています。誤りなどあるやもしれませんが、ご容赦ください。

ARTIFICE シナリオ

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本作の主人公

ということでシナリオから見ていきましょう。舞台となるのはアリア(Alia)と呼ばれる惑星。主人公となるのは、のどかな村「Benello」で暮らす女性、Eliaです。

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幼馴染のDonovanイケメン水使い

幼馴染である青年Donovanとともに、自らの「魔法」の力を使い、村を守る自警団として活動しています。

ある日二人は村長から盗賊たちが盗んだ村の物資を取り戻してほしいと依頼を受けます。依頼を受け、二人が向かったのは北にある神秘の森「Maklenia」です。

盗賊が根城としている、森の奥にある洞窟を目指す二人。その冒険の中で、二人は人間に語り掛ける力を持つ謎の水晶「Axlem」と出会います。

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Axlemだぜ

不思議がる二人にAxlemは過去に「God of Earth(大地の神)」と呼ばれるほどの力を持っていたこと、しかし時代が進むにつれ人々からAxlemと関わる力が失われていったと告げるのでした。

そんなAxlemですが、数少ない彼とつながることのできる人間であるEliaとDonovanの二人に残されたわずかな力を使い、彼らに魔法や特殊な武器防具を授け、手助けしてくれることに。

Axlemの力を借り、ついに二人は森の奥を根城にする盗賊たちを退けたます。これで無事にBenelloに戻れると喜ぶ二人ですが、突如洞窟にあった小さな水晶たちが輝きだし、荒れ果てた見知らぬ世界に転移させられてしまうのでした。

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荒廃した世界

しかし、二人は気づきます。この世界は荒れ果ててはいるが、見知ったアリアの姿に似ていることに。そしてBonelloがあったと思しき場所に向かうのですが、そこでは機械のような異形の存在が人を支配する、恐ろしい光景が広がっていました。

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緑髪の良い女

凶悪な機械生命体に襲われる二人は「Verren」と名乗る緑髪の女性に助けられます。なぜか見ず知らずのはずのEliaとDonovan二人の名を知るVerren。驚愕するEliaとDonovanの二人は「自分たちの拠点に来ればすべてを教える、今は逃げよう」と告げるVerrenに導かれ、機械のような異形の存在から逃げた人々が隠れ住む居留地にたどり着きます。

そこで二人は今いる世界が400年後のアリアであること、そして、現在のアリアが荒廃した世界になってしまった理由を知ることになります。

ARTIFICE

驚愕の事実

Eliaたちが居た400年前のアリアでのちにEliaが発明する「計算機」により、産業革命が起こり、人類の世界は一変。400年後にはSegという天才科学者が「AI」を発明するまでになる。

しかし、AIはSegをはじめとした人類のコントロールの枠を超えて成長し、暴走。自らを「intelligence」と名乗り、勢力域をひたすらに拡大するために、人間すら奴隷化するほどまでに力を持つようになる。intelligenceたちの支配により、アリアは滅ぶ寸前まで荒廃してしまった。

このようにVerrenは告げます。そしてVerrenやSegら残された人類が、intelligenceの支配を終わらせるために結成したレジスタンスとともに戦ってほしい、そのために二人を過去から呼んだのだとEliaとDonovanに言うのでした。

過去から未来に呼ばれた理由、それを知るためにはSegに合う必要がある。そういわれた二人はレジスタンスとともに戦いながら、はるか南、Segがいる拠点を目指します。

ここまでが、体験版でなんとなくわかるストーリーです。大きな流れは体験版だけではつかめないのですが、Steamにあるティザームービーを見ると、最終的には過去のアリア未来のアリアをいきつもどりつしながら、崩壊する未来を防ぐために戦う、といった物語になるみたいですね。

こうした設定はクロノトリガーの影響をようです。全体のUI周りの雰囲気はFFの影響を強く感じさせます。こんな感じで結構参照元がわかりやすい作品です。

ただ、AIが暴走し、人間が支配下に置かれ、温暖化をはじめとしたありとあらゆる問題が起こる、というシナリオは現代の問題を反映してもいて、この辺はオリジナリティを感じさせますね。

ARTIFICE システム面

基本的にはトップビューのコマンド選択式RPGといった感じです。画面の雰囲気的にはスーパーファミコン時代のRPGに非常に近いです。特にFF6とかドラクエ3のスーパーファミコン版のような息吹が感じられます。町のシステムはオーソドックスなコマンド選択式RPGでよく見たやつです。

戦闘のシステムは疑似的なリアルタイム方式です。わかりやすく言えば、FF4から採用されたアクティブタイムバトルに近いものですね。FF4以降の作品のように基本的には完全リアルタイム、というわけではなく、若干ラグがあり、よりターン制のRPGに近いシステムだと感じました。

ARTIFICE

戦闘

コスト的な制約からか、若干異なるものの、ARTIFICEは過去の名作のシステムにインスパイアされた非常にオーソドックスなRPGです。正直に言うと、これだけだったら、ガワは同じで中身を変えただけなのですが、そこはさすがに現代のRPGで、いろいろと遊びやすくなっています。

例えば、難易度設定が随時に変えられる。セーブをすると自動で回復できるようになる。ずっと奪取移動できるようになるといった設定ができるようになっていたり。クエストの進行状況をを随時確認できるようになっていたりと結構丁寧です。

とはいえこれだけだと、他のゲームでもよく見たものですが、上記以外に非常に独特なシステムがあります。それが魔法です。本作ではレベリングではなく「Lore」と呼ばれるアイテムを使うことで各プレイイングキャラクターの属性に応じた魔法を覚えられるようになっています。

ここまでだと「いや、他によくあるじゃん」と思うかもしれませんが、ここからが違う。

メインとなるアイテム集めの方法が結構特殊なんです。各ダンジョンにはAxlemと交信できる水晶があり、そこにダンジョンに点在している資源アイテムを一定数持っていくと、アイテムのロックが解除され、魔法が学べたり、魔法を強化できる「lore」が手に入ったりするというワケ。あくまで主観ですがRPGは結構遊んでいる(ドラクエ、FF、メガテンは一通りプレイしており結構好き)筆者ですが、このシステムはあまり見たことがなかったです。

この資源自体は動き回ることで集めることもできるのですが、結構面倒くさいと思ってしまうかも。その場合はダンジョンにいる「原住民」からカネで買えてしまうので、面倒ではないですね。お金の力で面倒をカットできるのも現代的でいいですよね。

よくできたオールドなJRPGだが、それゆえに遊びづらい点も

といった形で本作ARTIFICEはよくできたJRPGだなと感じました。ただ、細かな点が、いい意味でも悪い意味でも本当に古いJRPGなんですよね。で

特に顕著なのがサブクエストです。「おつかい」や「敵撃破×10」みたいな感じのものが多く、だるい。あと、ゲームオーバー後にイベントを再視聴する際にカットできなかったり。

こういった問題があるからこそ、FF6のピクセルリマスターなど旧作JRPGの移植作では、倍速モードが搭載されており、当時の雰囲気を残しつつ、現代的な遊びやすさが担保されているのですが、本作にはそれすらもなし。結構つらいです。

また、先ほど独創的と説明した魔法周りのシステムも、確かにあまり目にしたものではないのですが、正直に言えば、面倒くさい。レベルとかスキルポイントで覚えられた方がよくね? と思ってしまったりもしました。だから既存のRPGでは採用されなかったのかもな、と思ったり思わなかったり。

製品版ではどうなるかわからないのですが、体験版の時点では各所に「ポイントオブノーリターン」と言いますか、イベントを終わらせると取り戻しのつかない場所があります。魔法は各地のダンジョンににいるAxlemを通して覚えることが基本なので、戻れないということは魔法を全て覚えられないことを意味します。 なので魔法を覚えきるために、すべての要素をいちいちクリアしなければいけなくなったりする。これがやらなくてもいい作業をやらされているように感じてしまってつらいんですよね。

魔法習得周りのシステムに関しては、本作の肝となる部分でしょうから、改善は難しいかなと……。ただ、倍速システムとか少なくともコメントを早回しできるようなシステムはあると嬉しいですね。

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