G-modeアーカイブ+新約ラストバイブル2始まりの福音 レビュー 衝撃的なシナリオとRPGとしての面白さのバランスが取れた一作

ゲームレビュー

フィーチャーフォンで配信されていた名作の第2作が返ってきた。シナリオおよびエンドコンテンツをクリアしたので感想をまとめておく。

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G-modeアーカイブ+新約ラストバイブル2概要

本作は元々はドコモが運営していた携帯電話IP接続用のサービスi-mode向けにアトラスがサービス展開していた、携帯サイト「メガテンα」にて配信されていたシリーズ「新約ラストバイブル」の2作品目だ。

コアな「メガテンファン」から愛された作品だったのだが、その後iモードはサービス終了に伴いプレイが不可能に。版権の問題などもあったところ、今回のG-modeアーカイブスによるSwitch版発売となった。

ややこしいのだが、この新約は、GB及びSFCを中心に展開していた女神転生シリーズ外伝作「ラストバイブルシリーズ」を基に新たに作り上げられた作品だ。

「ラストバイブルシリーズ」は会話をして敵を仲間にする、合体を駆使してしてさらに強力な仲間を生む「女神転生」シリーズの根幹を残しながらも「2人の人間の仲間」「3Dダンジョンと2Dフィールドではなく全編ドラクエ風の見下ろし型の画面」「SFファンタジー的な比較的オーソドックスなシナリオ」と王道なRPGとしてシリーズ、もっと言うと「対象年齢が低めのメガテン」的なタイトルだ。ゲームギアで発売されたスピンオフ的な作品を除き、シリーズ全3作が発表された。

ラストバイブルシリーズで作られた「対象年齢低めのメガテン」はのちのデビルチルドレンシリーズなどに引き継がれているように思う。

今回プレイした新約シリーズは、ラストバイブルを引き継ぎ、新約1、2、3と連作になっている。基本的なゲームシステムも変わらない。だが女神転生シリーズ、特に真一、真二で描かれた神と悪魔の戦いによる世界の崩壊、神話の創生とSF、ジュブナイルものが組み合わさった独特の雰囲気を引き継いだ作品で異彩を放つタイトルだ。

特に今回紹介する新約ラストバイブル2は「疫病による世界の崩壊」が一つのテーマとなっており、凄惨なシーンが多い。少しでもストーリーの陰惨さを抑えるためか、キャラクター造形はコミカルなのだが、冒頭から衝撃的な話が続いていく。

G-modeアーカイブス+新約ラストバイブル2 ストーリー概要

物語の舞台となるのは辺境の惑星ホルス。惑星中に治療がほぼ不能とされる疫病(体の自由が奪われ、全身に痛みが走り、そのまま死に至る奇病)が流行し、人の命を奪う化け物「魔獣」がいたるところにはびこり、人類は存続の危機に瀕していた。

そんなホルスの果てに、ぽつんとある孤島で暮らすのが主人公だ。捨てられていたところを拾われた彼は育ての父母、血のつながらない妹と、滅びゆく世界とは裏腹に幸せに暮らしていた。

しかし、妹の誕生日、平穏は崩される。プレゼントの笛を片手に外に遊びに出た妹。その楽しそうな姿に頬を緩める主人公たちだったが、ふと目を離したすきに彼女は姿を消してしまう。

妹の命の危機に主人公は奔走する。だが、しかし生家の近くにある山で主人公が見つけたのは妹の変わり果てた姿だった。

妹を喰い殺した謎の”魔獣”は彼女の命をもてあそぶかのように「プレゼントの笛」を吹きながら主人公に襲い掛かる。奮闘空しく主人公は「笛吹の魔獣」に命を奪われたかに思えたが自らを「魔獣の女王」と名乗る謎の存在に命を助けられる。

妹に起こった悲劇を伝えなくては……。急ぎ生家に戻る主人公だったが、さらなる悲劇が襲い掛かる。笛吹の魔獣が父も母も皆殺しにしてしまったのである。

またしても笛吹の魔獣に逃げられた主人公は家族の仇を討つために旅に出る。道中旅の仲間に、ホルスの滅亡のいったんの黒幕と伝えられる「狂王アイン」に使える戦士「レオン」、狂王と敵対する聖王軍の巫女「ルナ」の二人を加え進む主人公たち。

仇敵の笛吹きの魔獣をついに追い詰め、積年の思いを果たすかと思いきや、徐々に明らかになる3名そして「笛吹の魔獣」の出生の秘密と世界の謎。主人公たちは世界の創生の秘密をめぐる戦いに巻き込まれていくのだった。

といったストーリー。

のっけから衝撃的な話から続く。旅の仲間を連れだしてから少々やりすぎなくらいコミカルな展開が続く。だが、パーティメンバーはそれぞれ出生にまつわる「記憶」を失った存在で、その謎が徐々に明らかになる中盤以降か終盤にかけて、畳みかけるような怒涛の伏線回収が続く、という構成のシナリオになっている。これだけでもプレイの価値ありの内容なので、ぜひその目で確かめてほしい。

G-mode アーカイブス+新約ラストバイブル2 ゲームシステム概要

ゲームシステムは繰り替えしになるがシンプルなコマンド選択方式のRPGだ。フィールド、ダンジョンでランダムエンカウントした敵と戦い、撃破。手に入る経験値によりレベルを上げ、より強力な魔法が手に入るというオーソドックスなタイプだ。

メガテンから引き継いだ要素としてレベルアップ後の能力値振り分けがある。本作に限らずアトラスのメガテンシリーズのRPGではレベルアップ後に手に入る能力値ポイントで任意にキャラクターの「速さ」「力」「知力」「体力」などをあげることができる。例えば、力を挙げれば物理攻撃力が強くなり、速さを挙げれば敵より早く動けるので先制できるようになるといった具合だ。プレイヤーの好みに合わせた、キャラクターに育てることができる。

ちなみにそれぞれのキャラクターはレベリング以外にMPなど対象能力値を上げることで(進行事のイベントで習得する場合もある)能力値を特化させて、いち早く協力な技を習得させるのも面白いだろう。

強力な魔獣を味方に入れよう

もう一つメガテンから引き継がれた要素が敵を仲間にできることだ。本作では敵との会話を通して、見方に引き入れることができる。主人公自らが対話して説得するもよし、レオンやルナに対話をお願いするもよしという仕組み。ちなみに容量の都合かメガテンシリーズのように「女悪魔」「男悪魔」「古風」「狂人」のような悪魔ごとの会話タイプ変化はないものの、見方に会話をゆだねたときに若干テキストに変化があるなど、細かいところまで手が込んでいる。

コンバックでさらに強くなる魔獣たち

仲間にした魔獣たちはそのままでも十分強いのだが、他の魔獣と合体させ、より強力にすることもできる。

レオンを仲間に引き入れたあと手に入る魔法「コンバック」を使用して、新たな魔獣を生み出そう。通常であれば主人公のレベル+5までの魔獣を仲間にできるほか、稀に発生する合体事故「ミューテーション」を活用すれば、法則を無視したさらに強力な魔獣を仲間にできる。

シンプルながら、王道以外のクリアのための抜け道が用意されているのもにくいところである。

難易度は高め、状態異常を駆使しよう

新約ラストバイブル2の難易度は総じて高めだ。序盤から眠り・混乱・麻痺などの状態異常を連発し、主人公パーティを全滅に追い込む敵が登場。

中盤以降は強力無比な攻撃で一撃死させてくるボスも登場する。特に終盤は猛攻に次ぐ猛攻である。結構辛めだ。そのため、オーソドックスなRPGでよくある「レベルを上げて物理で殴る」が通用しないのだ。

一方で相性はあるもののボスキャラにも状態異常は通じるので、魔封じや麻痺を駆使して、敵の動きを封じたりもできる。能力値を「力マックス」のように極振りすると1万、2万といったインフレしたダメージ値をたたき出すことも可能で、うまくこのバランス、システムを理解すれば、難敵を突破することができるようになっている。要するに各アイテムの能力や有効度合い、各パーティキャラの能力値上昇を適当に上げるのではなく、のちの展開を踏まえて勘案する必要があるなどゲームに習熟する必要があるのだ。

容量の都合上「プレスターンバトル」のような戦略性の高い戦闘システムは盛り込めない。かといって、携帯サービスに登録してまで「メガテン」を遊びたいコアな層にオーソドックスなRPGは出せないと苦慮した結果なのだろうかと妄想してしまう。

この辺りは好みが分かれる点だろう。個人的には好きな難易度調整だった。

G-modeアーカイブス+新約ラストバイブル2 魅力など

まず、魅力として挙げられるのが世界感だろう。冒頭から主要キャラが食い殺されるシーンから始まるのだが、単なる悪趣味な要素として扱われるわけではない。

本作はクリアまでプレイしてみるとわかるのだが、ファンタジー世界を舞台にしながら、仏教的な世界観が下敷きにあるシナリオになっている。

家族の別れに執着する主人公

要所要所で病い倒れ、生きることそのものの苦痛を口にするNPCたち

恨みつらみ、嫉み

生きる上で生まれ得る耐えようのない苦しみ

こうしたものが物語の主要なテーマとして描かれているのだ。一見すると王道なRPGではあるのだが、考えさせられるシナリオになっている。

また要所要所に物語に深見を与える謎、布石もちりばめられていて、それらを調べることでより深見が出る。前作とのつながりが明らかになる仕組みも用意されていて、考察の余地も残っており、これもまたよい。

ある種何でもありなゲームバランス

先述したように新約ラストバイブル2は難しめの難易度になっているのだが、プレイヤー側の考え次第では序盤から高難易度ダンジョンをクリアしたりと何でもできるようになっている。

例えば、速さを極限まで降った主人公に敵をマヒさせる能力を持った杖を使わせ、完封しながら倒すとか、力を極振りして1000単位のダメージを繰り出しばっさばっさと切り倒していくみたいなことが結構早くからできてしまう。

もちろん、それに合わせた難易度ではあるのだが、うまく能力値を上げてゲームの「穴」みたいなものを見つけたときの楽しさはひとしおである。

ラストボスを倒した後にはエンドコンテンツがあり、こちらはさらに高難易度。特に真のラストボスと言えるとある幼女は果たして本当に倒せるのかと疑うほど。

これらは同時期に発売されたアトラスのペルソナ3の「エリザベス」やアバタールチューナーの「人修羅」をほうふつとさせる。時代性も感じられてアトラスファンとしては楽しいところだった。

G-modeアーカイブス新約ラストバイブル2 不満点

個人的には大傑作な新約ラストバイブル2だが、やはり昔のゲームなので、不満に感じる点はあった。一つはエンカウントの多さ。ダンジョンによっては1,2歩歩くだけでも敵が出てくるのでストレスである。おそらくボリュームがどうしても少なくなるところを苦慮した結果なのだろう。

また、シナリオも若干飛躍しがちな点はあり、突っ込みたくなる人もいるかも。

これらの点に目をつぶって楽しめるなら、傑作であることは間違いなしだと思う。気になった方はプレイしてみてほしい。

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