ソフト基本情報
発売年 | 1999年 |
発売元 | 任天堂 |
定価 | 5616円 |
スーファミファイアーエムブレム最後の作品にして最狂の作品
ファイアーエムブレムトラキア776
1999年 ニンテンドーパワーロム専用ソフトとして発売、そののちに、2000年にロム版が発売されました。
任天堂90年代から現在に至るまで、根強い人気を誇る『ファイアーエムブレム』シリーズの第6作目(サテラビューの『アカネイア戦記』を含める場合)。
ストーリーはざっというとこんな感じ
1996年発売の『聖戦の系譜』に登場したレンスターの王子リーフが、国を追われ落ちのびた辺境の村から蜂起し、祖国を帝国の支配から取り戻すまでを描いた作品です。
数あるシリーズ作の中でも特殊なシステムを持ち、ファンの間では、シリーズの異色作品そして最も難しい作品として語り継がれています。
スーパーファミコン、またゲーム史の中でも(ちゃんと面白く遊べるゲームとしては)最高難易度を誇るゲームであるということも広く知られています。
また、販売時期や販売形態が特殊だったこともあり、中古市場ではそれなりに高い価格が付いているようです
かんがえさせられすぎなゲームシステム
このゲームの難易度を激しく上げているのは敵の強さなどいろいろあるのですが、(たった一人で孤軍奮闘するリーフの姿が忠実に描かれているともいえますが)一つがゲームシステムにあります
それが「捕える」システムです。この作品では、自分より「体格」の低い敵キャラクターを「捕え」て、敵の装備や道具を奪うことができます。
やり方事態は単純で、「攻撃」の代わりに「捕える」を選んで敵にとどめを刺すだけ。
ただし、「攻撃」を選んだときよりも能力値が下がった状態での攻撃になりますし、いい装備を持っている敵はたいてい強敵なので、そう簡単にはいきません。
そして、「捕える」と同じかそれ以上に『トラキア776』らしさを生む要因になっているのが盗賊の「盗む」コマンドの仕様です。「盗む」コマンドは他のシリーズ作にも存在しますが、他の作品で盗めるのは、所持金や傷薬などのアイテム。
しかし、『トラキア776』では、(1)敵より速さが高い、(2)自分の体格が盗む品の重さより大きい、この2点の条件さえ満たせば何でも盗めます。つまりどういうことか?盗賊の速さと体格が高ければ、強敵の持つ装備品を盗んで完全に無力化することができるのです。
逆に言うと、この「盗む」と「捕える」を活用することができないと、襲い来る数々の強敵や初見殺しに対抗できません。クリアは相当困難になります。
そこが、『トラキア776』がシリーズ最大の異色作であり、鬼畜作たるゆえんだと思います。
難しすぎてファミ通も投げた
当時のファミ通の攻略本では、コラムなどではなく攻略記事の本文に、盗賊の経験値を永遠に稼げる小技が紹介されており、成長率を上げるアイテムが登場する章で、その小技を数百ターン続けて盗賊のレベルをMAXにする方法が推奨されています。
攻略本が正攻法の攻略を推奨していないゲームはそうそうないと思います。(私が他に思いつくのは、無限1UPを覚えないと無理と断言する『マリオ2』の攻略本ぐらいでしょうか……)私自身は情けないことに、1回目のプレイでは18章(※全25章+外伝数章)で一度挫折しました。
「これもう攻略本ないと無理だ」と思って攻略本を読んでみると、ダンサー(行動済みの仲間を再行動させられる貴重なユニット)を加入させる機会を逸していることを知り、そこでやり直した方がいいことを察しました。シリーズ経験者ならお分かりかと思いますが、再行動役はとても重要なユニットです。そんなことにもかかわらず加入条件は初見プレイヤーに厳しいです。
前の章を特定ターン以内にクリアして外伝を発生させ、その外伝のボスをとあるキャラで説得させる必要があります。しかも、説得できるキャラがそのキャラ以外にも複数存在します。別のキャラで説得してもアウトです。めんどくさいことこの上ないです。この作品の意地の悪さがよく表れた事例だと思います。
ライトゲーマーにはお勧めできないかも
そんな鬼畜作品ですが、難しすぎて面白くないかと言えば、そんなことはありません。面白くなければ、挫折した後再プレイすることはなかったでしょう。2回目のプレイでは見事にエンディングまでたどり着きました。
まず、『ファイアーエムブレム』のシステムの完成度の高さ、任天堂作品らしいUIの安定感、そして、意地の悪さの中にも豊かなアイディアが感じられること。それらが、難しくても楽しめた主な理由だと思います。ライトゲーマーの方々にはさすがにお勧めできませんが、それなりに年季の入ったゲーマーの方で、戦略ものが好きな方ならば、挑戦して損はしない作品です。難しいだけに、クリアできたときの達成感はひとしおですよ。
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