ダンジョンマンチーズ レビュー シマー様がかわいいハイテンションアクションゲーム ただし…

シマ―様だ!!!ゲームレビュー

ダンジョンマンチーズ は(Nintendo Switch/Steam)台湾のインディーデベロッパー「maJAJa」が開発を手掛けるアクションゲームです。クリアまで(攻略時間約9時間:難易度副料理長でプレイ)プレイしたので感想をその魅力、気になる点に分けてまとめておきます。

結論から言えば、ダンジョンマンチーズは個人的には大好きな作品。ですが現時点では評価が分かれる点があります

ダンジョンマンチーズのメインキャラであるネクロマンサーのシマ―様や仲間たちのキャラクター造詣、軽妙な掛け合いは好きな人はたまらないでしょう。また、敵を料理して食べ、強くなる、というゲーム設定。そして怒首領蜂や東方シリーズをほうふつとさせるボス戦の弾幕アクションは全体的にハイテンションでプレイしていて楽しいです。

一方でダンジョンマンチーズはまだ完成版ではありません(2022年春頃発売予定)。そのためか、操作性やレベル調整は大味に感じました。ストーリー自体の完成度が高いのですが、おかしな訳がちらほらとみられます。完成版ではないのでこれをもって評価を決めることはできませんが、細かいところで作りかけ感が気になる作品でした。

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ダンジョンマンチーズの魅力1 コメディタッチだが大どんでん返しのあるストーリー

ダンジョンマンチーズの魅力の一つが、ストーリーです。ダンジョンでマンチーズ(大麻を吸った後、何を食べてもおいしくなる状態を指すスラング)になる、というはちゃめちゃなタイトルの通り、ストーリーはとにかくハイテンション。

主人公の導き手となる女ネクロマンサーの「シマ―様」は主人公をゾンビとして生き返らせ、強くさせるために魔物の調理法を教え、ダンジョンに潜む魔物たちを手当たり次第に食べさせるなどやりたい放題。

ダンジョンマンチーズ シマ―様

出典ダンジョンマンチーズ お鍋の中からボワット登場するシマ―様

物語冒頭はそんなはちゃめちゃなシマ―様とその手下となる主人公ゾンビに対し、魔物を含めたダンジョンの生物たちを守る存在「森の王」とその仲間が立ちはだかる、というドダバタコメディのような様相で進んでいきます。

翻訳も良くできていて、会話の一つ一つもこぎみよくシマ―様とその仲間、そして「森の王」の仲間たちとのやりとりはくすっと笑えてしまうほど。

しかし、中盤を境に様相は一変します。広大なダンジョンが作られた理由。シマ―様はなぜ、主人公をゾンビとしてよみがえらせたのか。森の王とシマ―様の過去などが次々と明らかとなります。そして一つの惑星の滅亡を絡めた壮大なストーリーが展開していくのです。プレイヤーを「ダンジョンマンチーズ」の世界に引き込ませる物語は、これだけでもプレイの価値ありと感じられるものでした。

ダンジョンマンチーズの魅力2 ドタバタしたハイテンションなアクション

ダンジョンマンチーズ二つ目の魅力がどたばたしたストーリーに合わせたハイテンションなアクションです。プレイヤーは主人公となるゾンビを操作し、ダンジョン内にある魔物を倒し得られる食材を鍋で調理し食べ、能力を身に着けたり、魔物の素材を使って武器を作ることで力を付け、ダンジョンを踏破していくことになります。

魔物を倒し、調理して喰え!!!

ダンジョンマンチーズのメインシステムと言える食事は、舞台となるダンジョンに生息するモンスターの種類と同様に様ざま。道中に落ちているメニューを手に入れることで種類を増やすこともできます。能力は食材となった魔物にちなんでおり、巨大な蚊の魔物の肉で作ったフライを食べれば、2段ジャンプができるようになり、毒がえるや毒キノコの肉を食べたら、身体から毒を噴出するようになったりするのです。食事によって得られる能力は重ね掛けができたり、強化できるものもあります。速度と攻撃力を上げて剣をひたすら降る、アクションゲームの王道を行くもよし、ひたすら強力な毒を吐き続けるゾンビを作るもよしと何でもあり。

その他にも3段ジャンプができるようになったり、空中で二度ダッシュジャンプができるようになったりと基礎的な能力もどんどんインフレしていきます。

ダンジョンマンチーズに登場する魔物も”大きくなりすぎた蚊””強力な水鉄砲を放つ蟹”など実在する食材にちなんだものから、ストーリーが進むにつれどんどんおかしくなっていきます。ついには雷を使って攻撃してくる羊や鉄のうろこをまとった猛牛大量の野菜の軍団などが同時に登場。数、見た目、そして敵の能力ともにめちゃくちゃな感じに。それを主人公ゾンビが料理してもりもり食べて食材にちなんだ能力を身につけるというハチャメチャな展開でダンジョンマンチーズは進んでいきます。

慣性のついた操作は難しいもののわちゃわちゃしていて楽しい

こうしたシステム面だけに限らず、操作面でもドタバタ感に拍車をかける仕組みがあります。

ダンジョンマンチーズでは、動かしたキーやジャンプする前に乗っていた足場の角度に応じて慣性で主人公ゾンビは動くようになっています(例えば、右キーを入力してジャンプすると足場に乗った瞬間少し右に滑る)狙ったところに主人公を運ぶことが難しいのです。しかも空中で方向転換をしてさらにダッシュジャンプができたりととにかく”ドタバタ”した操作感なのです。(わかりづらくてごめんなさい、プレイしたことがある方ならブロフォース、スーパーマリオシリーズなどの操作感を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません)

白熱のボス戦も魅力

ダンジョンマンチーズのテンションの高さ、ドタバタ感はボス戦でも徹底しています。道中では敵がわらわら押し寄せることで”ドタバタ”感が演出されていたのですが、1対1となるボス戦では、画面を覆いつくすような弾幕攻撃がその役割を果たします。

これが来たら危ない!!!

ボス戦ではボスのイラストがアップになってカットインするのと同時に、ボスからの強烈な弾幕攻撃がプレイヤーを襲うのです。食材で作った盾でガードするのか、緊急回避で切り抜けるのか、それとも食材で身に着けたガード能力で逃げ切るのか。インフレさせた強力な攻撃で倒されてしまう前にボスのライフゲージを減らしきるのかのかなど、”いかにしてこの弾幕攻撃を乗り切るのか”考える楽しさがあります。

ボスの弾幕攻撃だ!!!

ボスによっては、戦闘中に会話や逃走パートなど戦闘以外の演出が入るものもおり、演出の多さも魅力です。

加えて、ボスにはそれぞれ、ライフゲージがなくなったあと”ファイナルアタック”とでも呼べる最後の強力な弾幕攻撃も用意されています。最後まで気が抜けない熱い、ハイテンションなボス戦が楽しめるのです。

ダンジョンマンチーズの魅力3 ボリュームも十分

また、インディーズゲームというと、どうしてもボリュームの少なさが気になるタイトルもありますが、ダンジョンマンチーズしっかりとゲームを堪能したと感じられる十分なボリュームがあります。

冒頭説明したように、未完成の本作ですが、それでもクリアまでのボリュームは10時間程度必要なほどの多さになっています。加えて、料理・武器のレシピの一部は隠された場所、避けられない敵の攻撃やトラップが多数配置された難所の先に置かれているなど、一筋縄でとれないものも多く、クリアしたステージを再度楽しむ楽しみも残されているのです。

さらに、少しネタバレになりますが、最終マップまで到達するとボスと再戦できるようにするマシンがおかれており、さらに、クリア後は獲得した食事や武器はそのままに2週目を進めることもできるなどやり込み要素も充実しています。

筆者はまだ試していませんが、ハードにあたる難易度「料理長」もあります。より深くダンジョンマンチーズを楽しみたい方はクリア後に難易度を変更してプレイしてみるのもありでしょう。

ダンジョンマンチーズの気になる点 作りかけ感が気になる

ダンジョンマンチーズはストーリーゲーム性ともにわちゃわちゃしていてハイテンションで楽しい作品です。しかし、まだ未完成です。現在Nintendo Switchなどで発売されているバージョンには、最終エピソードが含まれていません。いわゆるアーリーアクセス版なのです。そのためなのかはわかりませんが、エピソードが足りない以前に大味な部分もあり、その点がきになります。

まずアクション面では、わちゃわちゃした操作感は魅力な一方、調整がうまくいっていないのでは、と感じられるところもあります。終盤以降は、シビアな操作が要求される箇所があり、つるつる滑る氷の床をひたすら昇っていかなければいけないのみ、一歩操作をあやまると、一番下まで落ちてしまい全てやり直しになる、といった難所も登場します。

プレイヤーが操作するゾンビの動きには慣性がついており、とにかく操作がしづらいので辛い。ほんの少し右に動かしてジャンプしたいだけなのに、慣性が働くのでとんでもない方向に飛んでいく、着地した地面は斜めなのでそのまますべり下りてしまうといったことが頻発。レトロゲーム的な操作になれている人であれば、一つの味として受け入れられるかもしれません。ですがなれないプレイヤーにとってはかなりストレスになるかも。(正直に言うと、筆者はコントローラーを投げそうになりました……)

また、魅力として挙げたストーリーの部分で言うと、前半のコメディタッチな箇所に関しては、シマ―様、シマ―様の仲間の骸骨たち、敵となる森の植物たちなどは翻訳もしっかりしており、それぞれのキャラが立っていて、完成度が高いです。一方で、シリアスな展開になる後半箇所では、英語日本語ともに、機械翻訳にかけたような不自然な箇所、明らかに誤訳と思しき箇所などもあり、気になる点が散見しました。ストーリーの完成度が高いだけに余計に気になってしまいます。

シマ―様のグラフィックやその世界感に惹かれた方は現在のアーリーアクセス版を買い求めるのも良いでしょう。ただ、Switchのダウンロード版2100円、パッケージ版で3000円弱という値段を考えると、完成されたゲームをプレイしたい方は”春頃”という完成版の発売までまってプレイした方がいいかもしれません。

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最終エピソードについては下記

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