「ロムユニバース(Rom Universe)」は任天堂ソフトを中心にゲームの海賊版ロムデータを配信していたサイトだ。悪名高い違法サイトで、以前からその存在は問題視されていた。
2019年にはニューヨークに拠点を置く、任天堂アメリカ法人「Nintendo of America」がロムユニバース運営者でありロサンゼルス在住のマシュー・ストーマン氏(Matthew Storman)に対し、損害賠償金1500万ドルと同氏の「ロムユニバース」所有と運営の禁止(差し止め命令)を求めて提訴。
2020年にロムユニバースが閉鎖されたことなどを受けて、差し止め命令は却下されたものの、2021年5月には215万ドル(日本円で約2億3500万円)の損害賠償金の支払いを命ずる判決が下っている。
ここにきて、さらに新たな命令がロムユニバース運営者のマシュー氏に下された。海外メディアkotakuやtorrentfreakなどが報じたところによれば、マシュー氏は裁判所の決定を反故にするようなふるまいをし、その逆鱗に触れてしまったようだ。
マシュー氏は月額50ドルの分割というかたちで命じられていた賠償金の支払いを怠り、加えてSNSなどでロムユニバースの再開を示唆する発言をしたという。
これに対してカリフォルニア州連邦地方裁判所のコンスエロ・マーシャル判事が反応した。8月5日、マシュー氏に対してすべての無許可の任天堂ゲーム、映画、書籍、音楽を含む任天堂の知的財産、その他の無許可のコピーを永久に破棄することを命じたのである。つまり、過去にロムユニバースにアップロードしているかどうかに関わらずマシュー氏が所有している任天堂関連のデータを完全に破棄させ、ロムユニバースを再開しようにもできない状態にすることを求めたわけだ。
加えて、8月17日までにこの命令に従うこと、さらに8月20日までに命令に従ったことを証明する書類を裁判所に提出することを求めた。従わない場合には偽証罪に問われる可能性もあるとしている。
ロム・ユニバースには膨大な数の”ファン”もいたようだが、その下支えがマシュー氏の強気な態度に現れたのだろうか。結果として怒らせてはいけない人間を怒らせてしまったようだが……。
裁判資料 https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cacd.758131/gov.uscourts.cacd.758131.88.0.pdf
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