トリグラフ レビュー 猿にバナナをささげるハクスラ系RPG

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2018年9月4日 配信スタート

対応 iOS Android

価格無料

ダウンロード https://play.google.com/store/apps/details?id=com.SmokymonkeyS.Triglav&hl=ja

公式サイト  http://www.smokymonkeys.com/kyrill/index.asp

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名ブラウザゲーム「トリグラフ」満を持してスマホアプリに

今回紹介するのは2018年9月4日からGoogle、Appleから配信が開始されたRPGトリグラフ。 元々は2002年からサービスを始されている、累計50万人以上のプレイヤー数を誇る人気ブラウザゲームだ。10年以上の試行錯誤によって、いよいよスマホ版が誕生したわけである。

トリグラフは古くはディアブロ、昨今であれば、フロムソフトウェアのダークソウルシリーズなどに代表されるようなハックアンドスラッシュ系のシンプルながらやりごたえのある仕様のゲームだ。マップは全部で50+α。プレイヤーは「ソードマスター」「ダガ―マスター」「アックスマスター」3人のキャラクターから1人を選び、東国の姫がとらわれているという謎のトリグラフの塔を攻略していくことになる。

トリグラフにレベリングの概念はない。道中に落ちているアイテムでプレイヤーを強化していく。アイテムにはレア度の要素もあるほか特定の敵を倒さないと得られないユニーク武器、防具などもある。ステータスには攻撃力、防御力、だけでなく、素早さの概念もあり、これが移動速度だけでなく攻撃の速度も決める。トリグラフでは後述するが敵に囲まれて一方的にタコ殴りにされてしまう場面もあるため、素早さの数値が高く早く動けることは、かなり重要な要素なのだ。

トリグラフは高難易度、親指が死にそうになるレベル

昨今のスマホゲームというと、気軽にできて時間が無限に消費されていくようなタイプのものが多い気がする。ゲーム的に面白いというよりも、完全に空いた時間をつぶしたい、でも何をしたらいいかわからない、その辺のニーズをつぶしに来ているようなものが多い。内容も課金を前提としていて、最初の10時間くらいはそつなくだれでも楽しくできるのに、そのうちフラストレーションがたまっていくような仕上がりのものばかりだ。

だが、トリグラフはそんな生易しいものではない。無料でありながら、最後まで課金せずともプレイできるいやプレイヤーを遊ばせてくるような良心設計だ。本当であれば500円くらいで買い切りにしてもいいように思うのだが、そんなことはしない。開発陣の心意気というか、意地でも楽しませてやる、といった狂気じみたものすら感じる。

昨今のスマホゲームではあまり見られなかった、無料でも十分に楽しめるタイプのゲームだ。オンライン要素は基本的になく、誰かと一緒にプレイするのではなく、完全に一人で楽しむタイプのゲームだ。ダウンロードしたまま、オフラインでもプレイが可能。この辺りもうれしい。

ゲームの内容は、こちらは繰り返しになるが骨太だ。プレイヤーが攻略することになる魔塔トリグラフは一筋縄ではいかない。各マップで敵キャラクターが待ってましたと言わんばかりに山の如く現れ、平気でプレイイングキャラクターを殺しにかかってくる。序盤のゴブリンのような弱い敵ですら、囲まれてしまえばなぶられ放題のうれき目にあい、あっという間に殺されてしまいかねない。

全編を通して気の抜ける要素があまりない。プレイヤーは自分の動きにも注意しなくてはならない。敵の中には素早く攻撃力も高く、しかも群れで出る、という凶悪の見本市のようなやつもいるからだ。ちょっとしたボタン操作のミスが命取り。しかもそんなプレイや-を支えるのが12個あるインベントリーに格納できるアイテムなわけだが、防具と武器をそろえただけで12個のうち8個が埋まってしまう。

調子に乗るとすぐに死ぬ

回復アイテムやそのほかのアイテムにさける枠は実際のところ4つしか用意されていないのだ。この中には本作であまりに理不尽に訪れる死からプレイヤーを救済してくれるパペットというアイテムも含めなくてはならない。塔で敵からドロップ、あるい塔のところどころにある居住区や休憩スポットジャンクションで購入することができるこのパペット。理不尽な死が訪れたとしてもその個数だけゲームオーバーを防いでくれるという代物だ。非常にありがたい。だが、これも入れてしまえば回復に使える枠はどんどん少なくなる。プレイヤーはどのアイテムをインベントリーのどこにさくのか、そして虎の子である、数少ないアイテムをどこで、どのタイミングで使用するのか、常に苦心しなくてはならない。

トリグラフはローグライクではないが、ローグライク的な側面もある

トリグラフはあくまで塔を攻略するハクスラアクションなのだが、ローグライク的な面もある。まず敵の配置もボスキャラクター等一部のものを除いて、ランダムになっていて、マップの構造を覚えていれば、敵の配置を利用して気軽に攻略ができるといった優しさはみじんもない。徹底して、中途半端なゲームへの没入を遠ざけるような仕上がりになっている。プレイヤーは常に大事に育てたキャラクターをロストする死の恐怖と緊張感と戦わなくてはならないのだ。プレイヤーが死亡してしまえば当然、ゲームはやり直し、装備品も一部は受け継ぐことができるが、全てではない。うっかり大事な武器を装備したままうかつにやられると……というわけだ。ここはローグライクの名作、「不思議のダンジョンシリーズ」のようなシステムである。

また、熟練のトリグラフプレイヤーになったとしても気は抜けない。道中は運の要素も強いからだ。レベリングの概念がない(装備によっては敵を倒した数に応じて能力が上下するものもある)本作では、基本的に手に入れたアイテムの能力値によってすべてが左右される。弱いアイテムでは敵に全く歯が立たないうえにろくに動けないなんてことにもなってしまうのだ。手に入れたアイテムが散々だったばかりに、まるでゴキブリのように、押し寄せる敵にたたき殺されてしまうプレイヤーは後を絶たないだろう。本当におそろしい。もちろん運がよくいい武器が集まれば、対してうまくなくてもやすやすと中盤、終盤まで進められてしまう可能性もあるだが。

とはいえ、ここでもトリグラフは素晴らしい。RPGや能力値の概念があるアクションゲームがやりがちである終盤まで進み、能力値が上がってしまうと敵が相対的に弱くなってしまい、途端にゲームがつまらなくなるという溢路に落ちることを防いでいる。基本的に、パーフェクトなアイテムというのはこのゲームには存在しない。ラストボスを倒すと手にはいるとあるアイテムも非常に強力なのだが、プレイヤーが物語を進めてゲームに慣れてくれば来るほど、とある重要な能力値が下がるように調整されている。要は、プレイヤーが「ここまで強化したらもう大丈夫だろう」「このゲームも完全攻略したな」といった傲慢な気持ちになるほどまでにやりこんだとしても、運営側が用意する強敵との戦いに緊張感がなくならないように絶妙にゲームバランスが調整されているのだ。どこまでもプレイヤーを飽きさせないその熱意には頭が上がらない。

うざったいほどに繰り返すが、昨今のスマホゲームではありえないような良心設計である。金のためにはやっていないのだろう。ゲームが好きでたまらない、性格の悪い運営側がいかにプレイヤーを苦しませるのか(楽しませるのか)苦心した結果が垣間見える作品だ。ただ、ブラウザ操作の名残を残してか親指で操作しなくてはならないのは少々つらいところもある。プレイヤーのミスが即、死につながる本作において、スマホ的な指一本での操作は少々つらい。やりこんでいると、腱鞘炎のような症状が出てくるほどだった。こればかりは仕方のないことなのかもしれないが、これからトリグラフの世界に没入される方は注意した方がいいだろう。腱鞘炎は大変だ。

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トリグラフのここがいい、ハードながらもどこかユーモアのある世界観

プレイの内容ばかり話してきた。世界観にも触れておこう。基本的には多くのハックアンドスラッシュ系で見られる世界観に非常に似ている。プレイヤーに与えられた情報はほとんどない。恐怖と苦痛に満ち溢れた魔塔トリグラフを手探りで進めていくことで全貌が浮き上がってくるようになっている。もう一つ言えばダークソウルやディアブロなどである、人の命の軽さや血みどろ、どこかに漂う陰鬱な感じなども本作は共通して持っている。ネタバレになるが、助けたと思ったあるカップルが無残にも命を奪われてプレイヤーの前にさらされるシーンなどはこのゲームの象徴的な一番面になっているだろう。

こうした多くのダークファンタジー系ハクスラゲームによくある世界観以外に本作の独自な点を挙げるとすれば、一つは文字が登場しないことがあげられる。もちろん、運営からの説明という意味での文字は登場するのだが、物語の舞台となるトリグラフの塔では基本的に文字は登場しない。背景に描かれた絵や、微妙な雰囲気の変化を通してプレイヤーは物語を感じていくことになる。これもネタバレになってしまうのだが、結局プレイヤーは最後までなぜ姫が誘拐されたのか、トリグラフの塔とはなんなのか、ということを完全に理解することは無いのだが、そうした残された余白も本作の魅力となっている。

クリアしたプレイヤーをなごませてくれる姫

もう一つ独自の点を挙げるとすれば、そこかしこに漂う独自のユーモアだろう。プレイヤーを助けてくれる謎の猿。バナナを上げると強力な武器防具をプレゼントしてくれるわけだが、彼らが何者なのかはよくわからない。運営がsmokymonkeysなので、そこはあるんだろうか。本作唯一といっていい緩い要素だ。東国の姫も助けた後は危険なはずの塔のそこかしこで優雅なバカンスを楽しんでいるような風情を見せるなど随所に突っ込みどころも満載だ。出てくる敵もどこかで見たことがあるようなダークファンタジーにお馴染のアイツがいる一方で常に「はーはー」あえでいるデブのファットマン等、コミカルなキャラクターも登場する。そして大体面白い奴は強いし面倒だ。自分が助けたキャラクターが平気で死んでしまったり、お尋ね者を殺して、彼らの耳を届けると強化アイテムをくれる人間がいるなど、ハードな世界観がある一方で、こうしたどこか「くすっ」と笑ってしまうユーモアも感じられるような矛盾した光景が広がっている。運営側の遊び心のなせる業だろう。

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トリグラフは文句なしに面白い作品

色々と御託を並べてきたが、トリグラフはスマホで遊べてしまう、しかも基本プレイは無料というゲームの中では文句なしに面白作品の一つといえる。トリグラフはダウンロード版をローンチする前に、そもそもブラウザゲームで10年以上の歴史がある。だから当然なのかもしれないが、とにかくゲームの楽しさが堪能できる最高の一作だ。最近では新たなクエストやオンラインならではの要素も追加されていて、こんだけ遊べる要素を足して大丈夫なのかとすら思えてくる。無料でプレイしても楽しさも操作感もほとんど変わらない。変わるとすればインベントリーの空き容量くらいだ。もちろんアイテムが重要なゲームではあるので、インベントリーの空き容量は重要なのだが、別に難易度が少し上がるだけで、課金せずとも、十分にゲームクリアまでは楽しむことができる。むしろお金を払わない方が本来のゲームの楽しみ方だといってもいいくらいかもしれない。

トリグラフは文句なしに面白い一作だ。運営の思いを組んで無料で高難易度のままプレイするもよし、やりやすいために運営側にお金をささげるのも良し。ダウンロードして楽しんでみてほしい

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