ソフト基本情報
発売 1993年
開発販売 クインテット・エニックス
ガイア幻想紀概要
ガイア幻想紀は1993年、エニックスとアクトレイザーやのちにクインテット三部作(ソウルブレイダー、ガイア幻想紀、天地創造)と呼ばれるようになったゲームを開発したクインテットが共同で開発、販売を行った、アクションRPGだ。
ストーリー
中世から前近代程度の文明を持つ世界が舞台。冒険家の父を持つ少年”テム”が主人公。
はるか遠く、そびえたつバベルの塔で消息を絶った実の父を探すため、冒険の旅に出ることを胸に秘めたテムはモリス、ロブ、エリックと、三人の仲間たちと港町サウスピークで過ごしていた。
そんな彼の日常は町のほど近くにあるエドワード城の王女”カレン”の登場で一変。ひょんなことから冒険の旅に出ることを余儀なくされる。
冒険の中でテムはいくつもの出会いと別れを経験しながら、世界の真実、そして自らに秘められた闇の力の謎を解き明かしていく。
という感じで物語は始まっていく。
SF作家である大原まりこ氏が脚本を手掛けた物語は一言では言い表せない妙味を持っている。
非常に丁寧に作られていて、よく、「鬱シーン」などと台打たれて、ネット上でこのゲームの数々のシーンが引用されている、衝撃的ではあるのだが、単に一つの絵や衝撃的なフレーズで終わらせるのではなく、一つ一つのシーンをプレイヤーが見終わった後、じっくり考えさせらるような工夫が凝らされているのだ。
このゲームというと、モリスが去っていくシーンやペギーの死、あるいはギャンブルに命を懸けた男からの遺書が取りざたされがちだが、私が推したいのは、「殺し屋ブラックパンサーの死」だ。
序盤から登場し、ついぞ敵として戦うことこそなく、その死も不意に起動した遺跡の罠によるものと無残なものだ。だが、物語では全く語られることのない彼の背景を、火に包まれながらもなお、追いすがろうとする死にざまで、何も語らずに描き切るあたり、素晴らしい、鳥肌ものだ。
プレイヤーにとって、ただ単にテムたちを付け狙ってくる、招待不明の恐ろしい殺し屋でしかなかった彼が、ふと一人の人間だったのだと気づかせる。
こういったシーン以外にもこのゲームにはたくさんの見どころがある、ぜひプレイしてみてみて欲しい。
プレイの仕方
ゲーム自体は純粋なアクションゲームだ。
プレイヤーができるのは、攻撃、アイテムの使用、道中覚える新たな技 そしてLRボタンを利用してテムに秘められた闇の力を使うこと。これだけだ。
非常にシンプルである。ジャンプはできないし、最終盤に手に入る「オーラの玉」というアイテム以外はゼルダの伝説のように、アイテムを装備することで、新たな動きを獲得することはできない。
道中覚える新たな技は敵を倒すためというよりは、それを駆使して、謎を解いていくために使っていく。
プレイヤーを助ける二人の闇の戦士たち
物語の途中で、”リーチが長く攻撃力の高い、フリーダン”、”究極の生命体、オーラの玉を使うことで、液体状に体を変化させられるシャドウ”とテムと同じく闇の力を持つ戦士の力を借りることができるようになる。プレイヤーは彼らに”変身”することで、マップの謎とき、あるいは強力な敵を攻略していく。
ステージ攻略型、一度クリアすると次はない
マップはステージ攻略型になっていて、一度攻略すれば一部例外を除き、二度とそのマップに戻ることはできない。
ゼルダの伝説やメトロイドなどのように、同じステージをまた探索する面白さは削られているが、その分スピード感のある展開を楽しむことができる。
基本的に一本道であるので、普通にプレイしている分には大きな問題はないが、隠しアイテム「赤い宝石」をすべて集めたい場合にはじっくり見ていく必要があるだろう。
敵をすべて倒すと能力があがる
成長の仕組みは簡単だ、マップ上の敵を全て倒すか、ステージの最後にいるボスを倒す、あるいは道中手に入るアイテムによって、攻撃力、防御力、HPが上昇していく。
アクション的な要素が強い作品なので、別にすべてをあげなくともクリアは可能だ。そのあたりはプレイヤーの判断ゆだねられている。
さて、大まかなプレイ概要を説明してきた。肝心のステージはというと、ゼルダの伝説のように、動きによって謎を解いていく仕組みではなく、観察力が重要になる。
微妙な変化、あるいは敵との距離を観察し、フリーダンやシャドウに姿を変えながら、特定の技を使いながら進んでいく、方式だ。
謎が見つからないとストレスがたまる部分もあるが、見つかった時の喜びはひとしお。ストーリーが語られがちな作品だが、ちゃんとゲームも面白いので安心していただきたい。
総プレイ時間はおそらく平均6時間程度、周回プレイをした場合やアクションRPGが得意、という方であれば、4時間もあれば攻略できてしまうだろう。
ガイア幻想紀賛否両論点
非常に完成度の高い作品なのだがもちろん残念な点もある。
残念ながら、スーパーファミコンのソフトは大体そんなところがあるものだ。
一つは致命的なバグが複数あるということ。
特に序盤ダイアモンド鉱山というマップで、フリーダンの技「ダークフライヤー」を習得するイベントがある。
この技はそのあとのマップを攻略するうえで、必要なものなのだが、ダイアモンド鉱山自体は、技を習得しなくともクリアできてしまうのだ。
もちろん、これをやってしまえば、物理的に完全に摘んでしまう。最初からやり直しだ。気を付けていただきたい。
また、難易度はどちらかというと優しめだ。正直、ゼルダの伝説やメトロイドみたいなゲームが好き、という場合だと、少しとしては退屈さを感じるかもしれない。
この辺りも今後プレイするつもりだ、という方は考慮していただきたい。
まとめ
ガイア幻想紀はスーパーファミコン時代特有の粗こそあるものの、ストーリー、プレイ内容ともに非常に丁寧に作りこまれた良作だ。
ストーリーがゲームを覆いつくしてしまっているようなことはなく。プレイヤーはゲームをプレイすることで、キャラクターたちの経験を追体験できるようになっている。
ストーリーも感涙にむせび泣くようなものではなく、プレイ後じっくりよいんに浸っていられるような妙味があるもので、素晴らしい。
現在、カセットのみで1000円ほどで販売中だ。気になった方はぜひプレイしていただきたい。
個人的にはスマホでリメイクしてほしい一作だ。
でたりしないものだろうか……。
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