1月24日発売のアクションRPG「FORSPOKEN」(スクウェアエニックス)をクリアまでプレイしたので、所感をまとめておきます。(※約20時間プレイアクション難度はHARD)
魔法とハイスピード×パルクールアクションという、できたら絶対に面白いけど、これまではなかった組み合わせがとにかく爽快で楽しい。一方で、JRPG的なシナリオ・ゲームシステムとオープンワールド要素という組み合わせの相性の悪さを感じさせる作品でもありました。
いかに詳細をまとめていきます。
FORSPOKEN概要 FF15を手掛けた、ルミナスの新作
FORSPOKENはスクエア・エニックスグループのグローバル展開、開発スタジオ、ルミナス・プロダクションが制作した一作です。ルミナスプロダクションズは、ファイナルファンタジー15を手掛けた、田畑 端スクウェアエニックスCEOがスタジオ代表を務めており、本作FORSPOKENでも、ファイナルファンタジー15制作時につかわれた開発エンジン「ルミナスエンジン」が使われているとのこと。(※筆者がFF15未プレイなので、FF15との比較などはできていません)
ニューヨーカー・フレイ、異世界「アーシア」に転生する
FORSPOKENの主人公は21歳の若き女性、アルフレイ・ホーランド(以下:フレイCV:庄司 宇芽香)です。
フレイは世界の政治・経済・文化・ファッション・エンターテインメントの中心地ニューヨークで暮らす「ニューヨーカー」、と言えば聞こえはいいのですが、実際にはごろつきのような暮らしをしてます。
マンハッタン島とニュージャージー州をつなぐ「ホーランドトンネル」に捨てられていたフレイは、里親のもとを転々とし、気づけば、身軽さを武器に窃盗を働き暮らす、札付きの悪になっていました。
そんな彼女の夢は、共に廃アパートで暮らす、猫の「ホーマー」と、腐った町ニューヨークを離れ、自然豊かな土地で、新たな人生を営むこと。
十分な額のキャッシュをため、ついにフレイはホーマーとともにニューヨークを旅立つことを決心します。しかし、人生とはそう簡単にはいかないもの。
盗みにしくじり、目をつけられていたギャングに、フレイの住処がばれてしまいます。見せしめのために、フレイの住処に火をつけるギャングたち。燃えさかる火の中で、新たな人生の門出のためにフレイが用意したカネは燃えカスになっていくのでした……。
フレイは、その日暮らしの中で、唯一親身になってくれていたマヤ・バード判事(CV:岡田 恵)にホーマーを託し、ニューヨークの街をあてもなく、さまよい歩きます。
そこでふと目に入った、とあるアパートの一室で金色に光る謎の腕輪。
廃墟であること、これ幸いにと、忍び込んだフレイは腕輪を手に取ります。すると、腕輪は突如まばゆいばかりに光だし、その光はフレイを包み込みます。
目が覚めると、そこは謎の古城、動転するフレイに聞き覚えのない声が語り掛けます。さらに混乱するフレイにその声の主は、自分がフレイの右手についた「金色の腕輪(CV:三上 哲)」であるとつげるのでした。
居丈高な腕輪は、自らを「ヴァンブレイス(前腕を保護する腕甲の意)」と名乗りますが、フレイはそんなことは意に介さず腕輪に「カフ(ブレスレットの一種)」と名付けます。
カフによれば、この異世界、その名を「アーシア」。FORSPOKENの物語の舞台であるアーシアからニューヨークに戻るにはどうすればよいのか……。
そんなことを考える暇もなく、突如現れ、フレイとカフを襲う化け物たち。カフが授けた「石を集めて飛ばす魔法」の力を使い、何とか退けるフレイですが、間髪入れずおとぎ話の「ドラゴン」が顕現したかのような巨竜フレイたちを「敵」と見定めたかのように執拗に狙ってきます。
辛くも生き延びたフレイたちは人類の居留地「シパール」にたどり着くのですが、フレイたちを見たシパールの民は穏やかではありません。
何故か「悪魔!」とさげすまれ、裁判の末、牢獄にとらわれてしまうフレイたち。牢獄の中で行く末を案じているとき、裁判でフレイを擁護していた女性「オーデン(CV:小林 沙苗)」がフレイを牢から助け出そうとやってきます。
いかなる理由があって、オーデンは命の危機も顧みず、フレイを助けようとしたのか。そう、いぶかしむフレイに、山のような蔵書のある家で、オーデンは「アーシア」に訪れている危機、そしてフレイこそが「アーシア」の希望であることを伝えます。
オーデンは、あるときを境に触れた人々や生き物から理性を奪い、化け物に変える瘴気「ブレイク」がアーシア中に広がり始め、人類はシパール以外には住むことができない。そんな中、なぜかブレイクの影響を受けないフレイこそが、人類、そしてアーシアの希望だというのです。
オーデンからフレイに告げられた願いは、ブレイクの謎を解くため、遠方で研究をしていたオーデンの父、ロビアン(CV:中 博史)が残した書物をとってくること。
しかし、フレイは早くニューヨークに戻りたい、ただ働きはしたくないと渋ります。そんなフレイにオーデンは見返りとして、父・ロビアンがブレイクとともに研究をしていた、別世界につながるポータル「トラーナ」に関する内容をまとめた書物を譲る、と言うのです。
ニューヨークへ戻るためなら、としぶしぶ、カフとともに旅に出るフレイ。
フレイはまだ、アーシアでの旅が、自らの出生の秘密を知ることになること、そして、縁もゆかりもないと思っていた異世界アーシアの命運が、まさに自らの手に握られていることなど、知る由もありませんでした。
といった感じがFORSPOKENの大まかなストーリーの流れです。
FORSPOKENの魅力、野をかけ、山をかける爽快なパルクールアクション×ド派手な魔法アクション
本作FORSPOKENの魅力が自然豊かなアーシアの世界を舞台に繰り広げられる、アクションでしょう。「ソニックザヘッジホッグ」のようなハイスピードのパルクールアクションが展開されます。
基本操作方法は以下の通り(Xboxコントローラー準拠)です。
・移動 Lスティック(押し込みでダッシュ)
・ジャンプ Aボタン
・躍動(パルクールアクション、ダッシュして障害物を自在に乗り越えられる)L+Bボタン長押し
また、パルクールアクションは物語を進めていき、アーシア各地に点在する力の源泉「泉」に触れることやFORSPOKENでボスに当たる敵「タンタ」たちを倒し、増やすことができます。
・跳躍(通常のジャンプや躍動で到達できない高さまで飛べる)空中で壁に向かってL+Bボタン
・舞踏(前方にジャンプダッシュ)パルクールアクション着地時にタイミングよくAボタンを押す。
・滑空(水面を滑る)水面でL+Bボタン
・繋留(オブジェクトを魔法の鞭でつかみ飛び回る)Xボタン
これらパルクールアクションがとにかく楽しい。FORSPOKENの最序盤、手にはいる躍動だけでも、感動です。無駄な操作を一切することなく、パルクールアクション操作をしているだけで、フレイはアーシアにある建物や山などを、グイグイとハイスピードで登っていきます。
この爽快さがよい。操作性としてはソニックザヘッジホッグなどに近いなと感じました。ボタン入力後はなしても操作がすぐに中断されず、挙動が暴れる感じというか。狭いところで、フレイが踊り狂ったりと、若干なれが必要ですが、それもまた楽しいのです。
FORSPORKENでは、広大なマップを馬や車などの移動アイテムなしに、フレイの身一つでウロチョロする羽目になります。ですがこれらパルクールアクションを駆使して、高スピードで動き回ることでストレスなく、雄大なアーシアの大地の冒険を堪能できるます。
フレイの歩みとゲームシステムの快適度の増し方が相関しており、冒険している、RPGしている感が楽しめるのも魅力の一つでした。
多様な魔法を駆使した戦闘
FORSPOKENの戦闘も魅力の一つだと個人的には感じました。基本的にはオープンワールド方式で、敵に接近、音を立てる、視界に入るなどすると、ノンリニアで戦闘が開始します。
アクションは魔法、と言いつつも、TPS的なものになっています。
魔法は序盤解放されている「大地」の属性を皮切りに、先ほど登場したボス「タンタ」たちを倒すことで、彼女らにちなんだ「炎」「水」「風」の属性がアンロックされていく仕組み。
魔法はそれぞれ
■支援魔法
・使用魔法切り替え Lボタン
・発動 Lトリガー クールタイムを経て再使用可能
■攻撃魔法
・属性切り替え 十字キー左右
・使用魔法切り替え Rボタン
・発動 Rトリガー 長押し最大3段階までチャージ
■チャージ魔法(魔法を使用していると徐々にゲージがたまり、発動可能になる極大魔法)
・発動 Lトリガー+Rトリガー
という感じになっており、具体的には大地では「岩」を使った比較的射程の近い「グレネードランチャー」「ショットガン」「マシンガン」的な攻撃魔法と、「ツタを使った拘束」「草を使った毒回復」などの支援魔法がつかえる。水では矢をモチーフにした長距離攻撃、炎は剣をかたどった近接攻撃といった具合に、それぞれ属性別に特徴があり、これを切り替えながら、敵の種別(飛んでいるか、地面にいるかとか)な属性ごとの相性などを加味しながら戦っていくことになります。
まあ、ここまでは最近のアクションRPGにはありがちな仕組みで、ここをFORSPOKENオリジナルタラ占めているのが、やはりパルクールアクションです。
FORSPOKENでは回避アクションの際にパルクールアクションを駆使することができます。回避性能はチートレベルです。パルクールアクションボタンを押しているだけで「赤いマーク」の敵の強攻撃以外は全て自動で回避してくれます。
ひらり、ひらりとかわす、フレイの動きは華麗そのもの。ただ、これだけだと、大幅にゲームが益化してしまう。そこをうまく調整するために、パルクールアクションはスタミナ管理が要求されます。
スタミナゲージではほぼ無敵状態を維持できるのですが、スタミナを使い切ると、しばらく、パルクールアクションは使えず、無防備になってしまうわけです。フレイのライフは敵の火力と比べ、かなり低めに設定されており(直撃すると雑魚敵でも一撃で瀕死状態になるレベル)いかに、スタミナを切らさず立ち回るかが求められます。
このシビアさと無敵さの融合が、他にないアクション性を生んでいます。爽快さは言うまでもないのですが、しっかりとした回避入力が求められる、アクションゲームダークソウルシリーズなどではなかなか難しい、画面を覆わんばかりの超弾幕攻撃など、敵側の迫力あるアクションも実現できています。
これらアクション面がとにかく楽しかったです。ただ、冒頭魅力として、これしか挙げていなかったことから、お察しの通り、そのほかの点は23年最新のアクションRPGとして疑問符のつく内容でした。
JRPG的シナリオ・システムとオープンワールドがかみ合っていない。
ということなのです。見出しの通りにつきました。FORSPOKENは建前としては、アーシアの世界をフレイのアクションで飛び回れる「オープンワールド」となっているのですが、自由度はかなり制限されています。
例えばブレスオブザワイルドなどのように入口から出口まで、進め方プレイヤーに完全にゆだねたタイプの作品のようにはなっておらず、ゲーム進度を無視することは基本的にできません。これがJRPGらしい魅力を生んではいるのですがFORSPOKENを「オープンワールド」としてとらえた場合にはその楽しさ、魅力を毀損しているとも感じました。
例えば、先のボス「タンタ」を倒せないと手に入れられないギミックを使った場所はそのギミックを使えるようになるまでは、突破できないようになっています。
FORSPOKENはシナリオ自体も一本道のもので、お使い要素もなければ、アイテムを集めるようなものはありません。パルクールアクションでダッシュでうろうろしたら、すぐに終わってしまうたぐいのものばかり。広いマップを歩き回って探索する必要はほぼありません。さらに言えば、広大なマップを駆使したサイドミッションのたぐいもほぼありません。
もちろん、探索要素はないわけではないのですが、どれも能力値アップアイテムや装備獲得といったタンパクなもので、プレイを続けているうちに展開が想像できてしまい、飽きが来てしまう。
おそらくシナリオを起点として「FORSPOKEN」というゲーム体験を提供したいという思いあっての、子の作りなのですが、なんのためのオープンワールドなのか、疑問に思ってしまいました。(※また、シナリオに関しても、完成度は高かったので、あくまで個人の好みなのですが、ニューヨーカーで俗物的に生きる、フレイが、世界の危機に瀕しているアーシアの滅亡に巻き込まれ、その中心となっていくという物語の本筋の展開はあまりにご都合主義的で楽しめませんでした。キャラクターのセリフも悪い意味でJRPG的でいちいち臭い)
細かいことを言えば戦闘周りも完全にシームレスではありません。アーシア各地には「変異体」と呼ばれる、ボス以上に強力な力を持った生物たちが点在しているのですが、例えば、そのほかのオープンワールドゲームでできるような「攻撃の来ない範囲から、ちくちく攻撃する」そして撃破、といった裏をかくようなこと、「自由な攻略」ができません。こういった細かなところで「オープンワールドをうたっているがオープンワールドではない点も少々不満。
端的に言えば、FORSPOKENはマップが非常に広いのい自由度がないアクションRPGといった様相になっていると感じました。ネタバレになるので詳細は伏せますが、FORSPOKENの舞台であるアーシアにはシナリオとは全く関係のない、膨大な量のマップがあります。ただ、ほとんどの場合、何が起こるわけではなく、シナリオのマップと同様「装備品」「能力値アップ」が点在しているだけで、代り映えがしないんですyね。正直に言ってしまうと、何故このゲームシステムでこんなに広い、マップを作ったのか疑問に思えて仕方ありません。
総論
というわけでFORSPOKENをクリアまで、プレイしたので、まとめてきました。非常に簡単に言ってしまえば、アクションを見て面白そうだと思ったら買ってプレイもありの一作ではあります。ただ、オープンワールドだと思うと、つらい思いをします。自由度がないにも関わらず、膨大なマップを相手にするの結構骨が折れました。全体的な完成度はさすがルミナススタジオが作った作品だけはあって、高かっただけに、残念。メタスコアなどが賛否両論あれているのも納得の作品でした。
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