真女神転生シリーズ。1987年の「デジタル・デビル物語女神転生」(販売はナムコ)の発売から、30年以上の長きにわたり愛されてきた日本を代表する人気RPGシリーズだ。2021年11月にはナンバリングタイトル最新作「真・女神転生V」も発売されるなど、そのほかのビッグタイトル(FFやDQなど)より発表感覚は長いが新作も定期的に発表されている。コアな人気を持つ作品だ。
こんな、真女神転生シリーズだが、誕生した初期の作品は、どれも良くも悪くも勢いのあるベンチャー精神にあふれたものだった。つまり、ゲームとしての面白さはあるものの、完成度がお世辞にも高いとはいえず、バグ、バグを利用した裏技(グリッチ)などが多く発見されてしまったのである。後述するがとりわけ真・女神転生Ⅱはバグが多く、PS版に至っては、初期バージョンが回収騒ぎになるほどだった。
小規模なサイトなら、女神転生のバグを集めて解説するだけで作れてしまうくらい、バグが多いタイトルなのである。今回はPS2、「真女神転生Ⅲ-NOCTURN」までのナンバリングタイトルの概要をまとめるとともに、それら作品で登場した、バグ、バグを利用した裏技の中でも著名なものをまとめて紹介したい。
デジタル・デビル物語女神転生のバグ・裏技 裏技的なものが多い
記念すべき第一作目であるデジタル・デビル物語女神転生が発売されたのは、今から34年前の1987年、ハードはファミコンだった。当時アトラスは開発のみを手がけ、販売は他社に任せるという体制だった。そのため「デジタル・デビル物語女神転生」と次作「デジタル・デビル物語女神転生Ⅱ」までは「ナムコ」が発売もととなっている。
同名小説が原作。天才的なプログラミング技能を持つ少年「中島朱美」はコンピュータ理論と降魔術の研究の末「悪魔召喚プログラム」を作り上げ、魔界から悪魔を召喚することに成功する。しかし、悪魔たちは中島の命令を聞かず、ついには彼を襲うのだった。そこを救ったのが、イザナミ神が転生したという女子高生の「白鷺弓子」。二人は手を取り合い悪魔を撃退したかに思えたのだが。
魔界ではルシファーが大魔王として君臨し、人間界を制圧しようと動き出していた。大魔王ルシファーの支配を防ぐため、中島、白鷺の二人は大魔王ルシファーが作り上げた大魔宮デビルポリスに足を踏み入れることになるのだった。
というのがストーリー。以降シリーズ作品の根幹となる「悪魔」と「コンピューター」がまじりあった「サイバーパンク的」な世界感は本作からのもの。だが、ストーリーは勧善懲悪的なシンプルなもので(おそらく容量の都合もある)、以後のシリーズ作品で通底された神と悪魔に翻弄された人間(主人公たち)が、様々な選択をしていく、という流れとは異なっている。
ゲームシステムに関しては今作で女神転生シリーズの根幹が完成したと言ってもいいだろう。3Dダンジョンゲームという基本的なゲーム性(3以降のナンバリングタイトルや外伝作品はそうでないものもあるが)。敵である悪魔と会話をして仲間にできるシステム。魔界のお金、「マッカ」、悪魔のエネルギーである「マグネタイト」などの基本的な用語。邪教の館でできる悪魔と悪魔を合体させてより強力な悪魔を生み出すシステム「悪魔合体」。宝石と精霊などを交換できるラグショップなどの施設。基本的な要素はほぼすべてこの初代「女神転生」に登場している。
ただ、魔法の名前が真シリーズ以降と異なる、どこでも移動できるターミナル要素、プレスターンバトルなどは登場していないといった違いはある。加えて全編を通して3Dダンジョンであること、真シリーズ以後に採用された、歩いた場所がマップに記載される「オートマッピング機能」がなく、プレイヤー自身が地図を作るなどしてマップを把握しないといけない点、セーブに「パスワード」方式が採用されていることなどからやはり、後続の作品と比べると遊びづらいタイトルだ。
余談だが、イベントで仲間になる魔獣「ケルベロス」は本作から登場。イベントでケルベロスを仲間にできる展開は以降真・女神転生Ⅱまで引き継がれる同じみの要素になった。
本作のバグは以下の通りだ。
(現在は2020年にSwitchで発売されたナムココレクションのDLCとして配信されたタイトルがどこでもセーブ・ロード機能もついており一番遊びやすい※Wii版のVCでも配信されていたが、現在はWii版のVC自体がサービス終了している)
デジタル・デビル物語女神転生のバグ・裏技1 マグネタイトが減らない
悪魔のエネルギーマグネタイト。悪魔を引き連れて移動している間は、1歩進むごとに必ず消費される。マグネタイトが無い場合はエネルギーが枯渇しているため、歩くたびに悪魔はダメージを受けてしまうわけだが、一部の悪魔を召喚していると、マグネタイトを消費しなくても済む。
それが「ガネーシャ」「ウォンロン」「クリシュナ」だ。この3体の仲魔を召喚しているとマグネタイト消費が0になるのである。とはいえ、この三体はいずれも作中トップクラスの仲魔。手に入れられるころには、クリア間近なので、使う必要があるかどうかはわからない。
デジタルデビル物語女神転生バグ・裏技2 最強仲魔が最初からいるパスワード
ファミコン後期になるとカセットに電池を搭載し、それを使ってセーブできる機能のあるソフトも登場したが、デジタル・デビル物語女神転生発売当時はまだそういった機能のないソフトが主流だった。そのため、「パスワード」を入力して、プレイ状況を再現する必要があった。多くのユーザーがパスワードを紙にメモし、それを再現しようと苦慮し、時に入力する文字を間違えデータが消失するという悲しい目に直面するプレイヤーもいた。
そして、入力するパスワードによっては、異様な状況が再現できてしまうものもあったのだ。
中には本作最強の仲魔「クリシュナ」がスタート時3体COMPにいるという、30C1N ARB5C NCGS0 R2XLE G60Q3 2C1N6 0007など、ゲームバランスを崩壊させてしまうものもあった。
デジタル・デビル物語 バグ・裏技3 裏面がある
ラスボス「大魔王・ルシファー」を倒し、ENDの文字が出た後、「やった」とファミコンの電源を切ってはいけない。約5分そのままにしておくと、裏面が始まるからだ。裏面は敵のHPが2倍、アイテムの位置やイベントが起こる位置などが変わるなど、全体的に難易度があがっている。これをクリアして初めてデジタル・デビル物語女神転生をクリアした、といえるわけだ。
デジタル・デビル物語 バグ・裏技4 カブちゃん登場
デジタル・デビル物語のバグという悪魔が登場するのだが、一定の確率で「カブちゃんがデバッグを始めた」という言葉が出て、勝手にオート戦闘を始めるというもの。
これは、バグ・裏技というよりは、当時のプログラマーが入れた遊び心のようなものらしい。
女神転生シリーズのシナリオライター・鈴木一也氏がウェブメディア「バズプラスニュース」に語ったところによれば、女神転生開発時、アトラスの外注だったプログラマーがもりこんだものだという。その後このプログラムを発見したデザイナーの岡田耕治氏が激怒。初期ロッド以降では取り除かれているそうだ。
デジタル・デビル物語女神転生2のバグ・裏技 グリッチ的なバグが多い
1990年、デジタル・デビル物語シリーズの第2作として生まれた、デジタル・デビル物語2。このタイトルを以って、真・シリーズ以降の世界感やゲームシステムが確立したといってもいいだろう。
前作とはことなりシナリオはアトラスオリジナル。
物語の舞台となるのは2036年、20世紀末に起こった未曽有の最終戦争で崩壊した東京だ。狂人と最終戦争によって生じた次元の切れ間から現れた悪魔が地上に跋扈し、残された人類は各地に点在するシェルターで隠れるようにして暮らしていた。
大田区だった場所にある京浜第3シェルターで暮らす主人公は、友人と共に体感型RPG「デビルバスター」に興じていた。ゲームをクリアすると、自らを神の使いだと話す「パズス」が現れ、ゲームをクリアすることによって、自らの封印が解かれたと主人公たちに感謝を述べる。
パズスは主人公たちを「救世主」と呼び、東京を支配する魔王「バエル」を倒してほしい、と願うのだった。主人公たちは京浜第三シェルターから外の世界に飛び出し、東京の救世主たるべく冒険の旅に出るのだが……。
前作のジュブナイル的な内容とことなり、神々と悪魔の戦に人間が巻き込まれ、神に頼るのではなく、人間自らが運命を切り開いていく、という真・シリーズのNEUTRALルートに該当するようなシナリオになっている。
システム面では3Dダンジョン以外に2Dのマップ探索が用意されたほか、セーブ、自由に各地を行き来できる「ターミナル要素」(デジタル・デビル物語Ⅱではトーテムポール状のチェックマンと呼ばれる存在)が登場。加えて「パスワード」方式ではなく、セーブが普通にできるようになった。また本作で初めて金子一馬氏が悪魔のデザインを担当した。金子氏は以降シリーズの大半の悪魔のデザインを手がけのちに「悪魔絵師」と呼ばれるようになる。
デジタル・デビル物語 女神転生Ⅱのバグ・裏技1 マッスルドリンコでHP増殖
マッスルドリンコという回復アイテムが本作では各地のジャンク屋などで手に入る。このマッスルドリンコは本作では単なる回復アイテムなのだが(真・女神転生Ⅱでは、HPの最大値が上がる)、HPがマックスの時に使用すると、最大値を20ずつ増やせる。理論的は999まで増やすことが可能だ。
デジタル・デビル物語 女神転生Ⅱのバグ・裏技2 宝石やアイテムが取り放題
デジタル・デビル物語女神転生Ⅱでも宝石をアイテムなどに交換してくれる「ラグの店」が登場する。実は致命的なバグがあった。宝石とアイテムを交換してすぐに、交換した宝石を手に入れた場所に戻ると宝石が復活してしまうのである。3Dマップに点在する宝石の場所を覚える努力は必要だが、使い方次第でラグの店でアイテムをいくらでも手に入れることができてしまう。
デジタル・デビル物語 女神転生Ⅱのバグ・裏技3 チェックマンの部屋でサウンドセレクトが可能
こちらはバグではなく、開発陣の愛のこもった裏技。チェックマンの部屋に入室する際、画面が暗くなる前、ファミコンのコントローラー2の「右上+A+B」を押すことでサウンドセレクト画面が出現する。
ちなみに、VCなどではそもそもコントローラー2が無いので、ファミコン、あるいはニューファミコンなどでしかできない、今となっては再現難度の高い裏技である。
デジタル・デビル物語女神転生Ⅱのバグ・裏技4 オートパイロットを利用した雑魚敵キャンセル
デジタルデビル物語女神転生Ⅱでは、後続の作品にあった「オートマッピング機能」がない代りに3Dダンジョンが得意でないプレイヤーへの救済策として、オートパイロットという機能が用意されている。あらかじめ地点をセットしておくことで、オートパイロットモードにすると、そこまで自動で動いてくれるという代物である。ただし、バグも多く、オートパイロットで移動中にBボタンで、キャンセルすることでそれ以後、雑魚敵と遭遇しないというグリッチも発見された。戦闘時間を大幅にカットできるので、利用するRTA走者も多い。
デジタル・デビル物語女神転生Ⅱのバグ・裏技5 ヒロインのMPが増える
物語序盤、友人と決別したあと、ヒロインをパートナーにすることができる。シリーズおなじみの要素で、魔法が使えず、物理攻撃しかできない主人公にたいして補助的に魔法が使えるキャラクターがヒロインなのだが、彼女のMPはこの裏技を使うことで、上限を増やすことができる。
3Dダンジョンで、MP0のヒロインを先頭にしアイテム「ひじょうぐち」をつかい脱出。その後、魔法を使わず、徒歩で体力などを回復してくれる「回復の泉」の泉までいきMPを回復するとヒロインのMPが250くらいまで上昇する。
ちないに、元の最大MP以下まで、MPを消費させると、元に戻ってしまうので、ずっと同じ状況をキープしたいのであれば注意が必要だ。
(気楽に遊べるのはWiiのVC版だったのだが、サービスが終了している。ファミコンをプレイするのは現状面倒なのだが、ニューファミコン、レトロフリークなどを利用してファミコン版をプレイするのが現実的。※リメイク版といえる旧約女神転生があるのだが、女神転生Ⅱより入手が困難、バグも多いので、案外、女神転生Ⅱの方が快適だったりするかも)
真・女神転生のバグ・裏技 バグ悪魔登場
1992年10月21日発売。
女神転生シリーズ初のスーパーファミコンタイトルであり、記念すべき真・女神転生シリーズ第一作目。アトラスが開発から販売までを手がけた初めての作品であり、それ以後の女神転生シリーズや外伝的作品(ペルソナシリーズなど)の方向性を決めた一作と言えるだろう。ちなみに以降シリーズおなじみの要素となった、某理論物理学者をモチーフにしたキャラクター「スティーブン」は本作初登場だ。
199X年、発売当時よりすこし近未来が舞台。吉祥寺に住むパソコンに詳しいナードな高校生が主人公だ。ある日、主人公は、奇妙な夢をみる。そこには磔にされる少年、徒党を組んだ男たちに暴力を振るわれる少年、邪教の儀式のような場で生贄にされようとする少女が映っていた。
その夢を起点として、不可解な現象が起こり始める。井の頭公園では原因不明の殺人事件がおこり、吉祥寺の街に規制線が張られるように。そして、主人公がいつものように商店街をうろうろしていると日本の妖怪「ガキ」のような姿をした化け物に襲われてしまう。
トウキョウでは神話上の存在と考えられてきた「悪魔」の目撃例が相次ぐように。
そんな日々が続く中、主人公のパソコンの「パソコン通信」にSTEVENと名乗る匿名ユーザーから悪魔を使役できるというプログラム「悪魔召喚プログラム」が送られてくる。
主人公は自らのみを守るため、ベルト型のコンピュータに悪魔召喚プログラムをインストールし、愛犬パスカルを引き連れ、東京の街をサバイブしようとする。だが、その背後では人類の存亡をかけた大きな戦いが始まろうとしていた。
鈴木一也氏がシナリオ、キャラクターデザインは金子一馬という黄金コンビが初めてタッグを組んだ作品でもある。
SFC版の他にPCエンジン版もあるほか、後にPS1、GBAでもリメイクされた。SFC版はVC、Switchオンラインで遊べ、PS1版PSアーカイブでもプレイ可能。記念すべき真シリーズの第一作、のちに人気スピンオフタイトルとなった「ペルソナシリーズ」に連なるタイトルということもあってか、シリーズの中では最も遊びやすい作品の一つと言えるだろう。
ただし、このころから、本格的にバグが登場するようになる。バグによってはSwitch版など次世代機移植版でも再現が可能なものもあるので、試してみてほしい。
真・女神転生のバグ・裏技1 非売品購入バグ
真・女神転生の難易度を大きく変えてしまうバグなので、利用には注意だ。詳しくは当ブログの書き記事を参照
真女神転生の裏技を紹介 あめのむらくも無限入手など、序盤からゲームバランスが崩壊するので注意
真・女神転生のバグ・裏技2 マッカが99999になる
マグネタイトを最大値99999まで溜めると、マッカも99999で固定される。ただし、真・女神転生シリーズではそもそも、マッカを最大まで集めるのは至難の業。加えて物語終盤で99999マッカ以上の値段がついた武器が登場するため、このバグを利用すると、購入できなくなってしまう。正直なところ、マグネタイトを必死に集めてまでやる価値があるとはいえないのが難点だ。
真・女神転生バグ・裏技3 バグ悪魔が作れる
終盤、カオス・ニュートラルルートは戦闘で倒すことで、ロウルートの場合はイベントで仲間にすることで合体が解禁される、本作最強悪魔の一角ヴィシュヌ。本作では3身合体は組み合わせによっては、2身合体時にできるはずの悪魔よりもワンランク上の悪魔を作ることができる。本来この合体を行った時、理論上2身合体の組み合わせが最上位ランク(シヴァ、ベルゼブブなど)ができるものだった場合はは合体不可の判定がでてしまう。
ただし、これがシステム上ヴィシュヌの1ランク上にあたる悪魔が作れる組み合わせだった場合、合体ができてしまい、ゲームの仕組み状本来誕生するはずのない、バグ悪魔が生まれてしまう。「ニューナンブ族」などほんらい存在しない種族の悪魔や、能力値が40を超えている悪魔、没魔法と思しき魔法を覚えている悪魔などを作成することができる。
真・女神転生Ⅱのバグ・裏技 バグが多く、お詫び文がカセットに同梱された一作
1994年3月18日発売。
前作のロウ・ルート以後と思しき未来が舞台。人々は東京ミレニアムという巨大都市で、メシア教徒が作り上げた組織「元老院」に管理されながら、暮らしていた。
主人公となるのは東京ミレニアム、ヴァルハラ地区にある、「岡本ジム」でコロシアムの戦士として訓練を受ける、少年「ホーク(デフォルト)」。ホークはコロシアムのチャンピオンっをかけた戦いを前に、今コーチである岡本にしごかれる日々をすごしていた。
岡本が浮浪児同然で街をうろついていた彼を拾ったこと以外は自らについて何もしらないホークだが、その出自には東京ミレニアムを揺るがす重大な秘密が隠されていた。
悪魔との戦いを電子的に再現するバーチャルトレーニングを行っている最中、ホークの目の前に突如、「スティーブン」と名乗る車いすの男が現れ「悪魔召喚プログラム」をホークに渡す。時おりフラッシュバックする記憶。不可解なことがホークの身に起こり始める。
そしてついに訪れる、敵対する羽田ジムの戦士「レッド・ベアー」とのチャンピオン決定戦。無事勝利を収めた「ホーク」の元に、「ヒロコ」と名乗る女性が訪れるのだった。
この邂逅をきっかけにして、「ホーク」はみずからを「救世主」として活用する「元老院」たちの陰謀、そして神、悪魔たちの大いなる聖戦に巻き込まれていく。
というのがストーリー。女神転生Ⅱを土台にしつつも大幅にリニューアルされている。また、真・シリーズとしては初となるエンドコンテンツ「金剛神界」が登場。加えて物語終盤に主人公たちと邂逅する東京の守護者「マサカド公」は真・女神転生Ⅳシリーズなどにも引き継がれるおなじみの要素になった。
真・女神転生(真1)までも、確かにバグは多いタイトルだったのだが、進行が不能になるものなどはほとんどなかった。リアルタイムで追っていたプレイヤーたちが、バグの多さに驚嘆したのがこの真女神転生Ⅱだろう。
SFC版でも数多くのバグが残ったまま発売され、のちにリメイクしたPS版が発売されることになる。SFC版の不具合が修正することを多くのファンは期待していたのだが……。
本来2001年の夏発売だったはずが、数度にわたり延期。最終的に2002年に発売されることになった。そうしてできあがった、初期ロットは「完成した真・女神転生Ⅱを楽しめる」と思っていた多くのファン達に絶望を味わわせるほどの出来だった。メーカーであるATLUSが自主回収する騒ぎになっている。
報告されているバグの数が非常に多い。基本的にはバグといかに付き合い、活用していくかが問われているようなタイトルだ。すべて挙げるときりがないので以下では、著名なもののみ解説していく。
真・女神転生Ⅱのバグ・裏技1 カジャ系魔法が上手く機能しない
カジャ系魔法と言えば、女神転生シリーズのバフ魔法である。タルカジャでは攻撃力、ラクカジャでは防御力、マカカジャでは魔法攻撃力、スクカジャでは命中率を強化することができる。序盤からプレイヤーを助けてくれる、なくてはならない魔法だ。
だが、真・女神転生Ⅱでは、タルカジャがループする(一定以上重ね掛けすると、初期状態に戻る)、スクカジャをかけると命中率が下がる、というバグがあった。
真・女神転生Ⅱのバグ・裏技2 フリーズ・データ消失が起こる
SFCのオリジナル版、PSの修正前版などはフリーズ、データ消失が頻繁に起こる。SFCオリジナル版では、仲魔の召喚を戦闘中に7回召喚するとフリーズするなどフリーズが頻発した。PS初期版でも同様にフリーズが起ったほか、主人公ホークがドミネーターというアイテムを手に入れた時にフリーズするというバグが頻発したため「ドミネーター版」「ドミ版」とも呼ばれている。
その他にも原因不明のデータ消失(PS版でも起こった)が起こり、多くのメガテニスト達を震え上がらせた。私自身、初期プレイはPS版なのだが、フリーズが頻発して、非常にプレイしづらかったことを覚えている。
真・女神転生Ⅱのバグ裏技3 防具相性が機能していない
真・女神転生Ⅱに限らず、真・シリーズでは、防具に例えば、炎魔法に対する相性50、衝撃魔法に対する相性100といった具合に、相性が設定されており、特定の防具を装備することで、相性のいい魔法のダメージを減らしたり、逆に相性の悪い防具ではダメージが増えたりする、という要素がある。
だが、SFCのオリジナル版ではこの防具相性がまったく機能しておらず、主人公、パートナーの人間キャラ二人は何の防具を装備しても、相性が変わらないというバグがあった。
真・女神転生Ⅱ バグ・裏技4 アイテムを無限増殖できる
手順は別の記事にて解説するが、どのようなアイテムでも無限に増殖できるバグが真・女神転生Ⅱにはあり、プレイヤーの能力値を上げる、お香すら無限に用意できてしまう。(ちなみに全て99まで上げると、フリーズする、というバグが報告されている)
このようにSFCオリジナル版、PS初期版は非常にバグが多い、現状プレイするのであれば、バグ報告の少ないPS修正版、GBA版をプレイするのが良いだろう。Switchオンライン版に関しては筆者もプレイ中だ、現状大きなバグなどはないが、SFC版を元にしているタイトルなので、何らかのバグが起こる可能性もあるので検証中である。
真・女神転生Ⅲ-NOCTURNEのバグ・裏技 完成度の高い一作だが、デバッグモードで入室してやりたい放題プレーすることができた。
1994年の真・女神転生Ⅱを最後に登場していなかった、真・シリーズ待望のナンバリングタイトルとして、2002年2月20日に発売されたのが真・女神転生Ⅲ-NOCTURNEだ。
これまでとはことなり主人公は、マガタマの力をかり、悪魔の力を得ている。そのため、これまでおなじみだった、魔法の使えない主人公とパートナーという組み合わせではなく、主人公自身が魔法や悪魔の特技を使い悪魔を率いて戦うようになった。
相性システムを利用したプレスターンバトルも採用され、以降の女神転生シリーズ関連タイトルでは全て採用される、アトラスRPGの看板の戦闘システムとなった。こうした設定は後続の真シリーズ作品、ペルソナなどのスピンオフタイトルでも採用されており、シリーズの転換となった作品である。
真女神転生Ⅲは当時としては最先端のPS2ソフトということもあって、全体的に粗のない完成度の高い作品だが、見逃せない重大なバグがあった。
真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE のバグ・裏技 デバッグモード
デバッグモードとは開発者がソフトウェアが正しく動くかテストをするために用意された機能で、基本的には発売する段階で消されているあるいは通常のプレイでは利用できないことがほとんどだ。
だが、真・女神転生Ⅲ-NOCTURNEでは、ターミナルで、PS2のトレーを開き、真・Ⅲのディスクをとり、別のDVDタイプのソフトを入れて読み込ませ、再度真・Ⅲのディスクを戻すという実に単純な方法でデバッグモードを利用できてしまうのだ。
デバッグモードでは全イベントが見られる他、本編では通常戦闘で登場しない敵も含めおよそ全ての敵と戦うことができる。戦うことのできる敵の中には倒すと異常に高い経験値を得られる魔神「ホルス」、倒すと必ず能力値アップアイテム香を落とす「鬼神属」の悪魔など、倒すことによってプレイキャラが大幅に強化されてしまいゲームバランスが崩壊してしまうような敵もいた。
もちろん、このデバッグモードは、以降登場した追加要素「アマラ深界」がある「マニアクス」デジタルデビルサマナー葛葉ライドウVSアバドン王の限定版に同梱された「マニアクスクロニクル」そしてPS4、Switchでのリメイク版では取り除かれている。試してみたい方はPS2のオリジナル版を手に入れるといいだろう。
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