FORECLOSED レビュー バンドデシネ風の意欲的なアクションシューター ただし粗が目立つ

ゲームレビュー
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PS4番をクリアまでプレイしたレビューです(プレイ時間約5時間)。

Foreclosedは8月12日より配信を(Nintendo Switch版は8月19日から)開始した、アクションシューターゲームだ。(PS4/5 Nintendo eshop PC)

体に埋め込まれた「インプラント」によって全てが管理される社会。生きるだけで背負わされた負債を返すため、終わることのない労働の日々を過ごす貧困層の男が、突如世界的巨大企業の陰謀に巻き込まれ、銃を手にとり、改造インプラントによって得られたハッキング、念動力などの特殊能力を武器に、世界を支配する「システム」と戦う。

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そんな「サイバーパンク」風、バンドデシネ(グラフィックノベル、と言ってもいいのかもしれない)の世界をゲームとして堪能できるという体験をプレイヤーに与えてくれる意欲作である。だが、それ故なのか、そのほかの粗が目立ってしまう作品だった。

Foreclosed ストーリー

Foreclosedの舞台となるのは、空飛ぶ車が行き交う近未来。人々は首筋に埋め込まれたインプラントを通じて身元から金銭、所有物を含めた財産、行動に至る全てが管理されている。

一部の超富裕層以外は身元負債という負債を背負わされ、企業や国の機関に所有され、日々負債を払うための労働に従事し、終わりのない単調な日常をすごしている。

Foreclosedの主人公エヴァン・カプノスもまた、そんな労働者の一人。彼は、世界的大企業「SECURTECH社」でバウンサーのような仕事に従事していた。

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ある朝、カプノスが代わり映えのないルーティーンを始めようとしていると「法廷」(Foreclosedの世界で言う裁判所)から見慣れないメールが届く。

「差し押さえ通知」と題したそのメールを開くカプノス。そこには彼を所有している世界的大企業SECURTECH社が突如倒産したこと。所有者のいなくなった彼の身元が差し押さえられ、行動が制限されること。銃など彼の身元IDと紐づいていたものが全て使用できなくなること。手続きを済ませるためには今日の午後4時までに「法廷」に行かねばならないことを告げられる。

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いやいやながら法廷に向かうカプノスだが、その道中、銃を持ったスーツ姿の男たちに襲われてしまう。周囲は発泡ふっさがり、万事休すかと思いきや、インプラントを通じて謎の女が語り掛けてくる。カプノスは女の声に従い、また突如目覚めたハッキング能力を使い、窮地を脱する。

女の手はずによって、カプノスのもとにやってくる「SECURTECH」の文字が刻まれた「空飛ぶタクシー」。乗り込むとタクシー内部に映し出されたモニターの中で、声の主が姿を現す。

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女は自らをSECURTECH社の創設者「ダリア・カーリ」だと語り、カプノスに彼が命を狙われた理由を説明する。

カーリによれば、カプノスに埋め込まれたインプラントはSECURTECH社が極秘裏に研究していたファームウェアで動く特別制で、そのインプラントを狙った組織が暗躍しているのだという。

そしてカプノスは、インプラントを狙う組織によって、SECURTECHは倒産に追い込まれ、カプノスと同様にこのインプラントを埋め込まれた同僚たちは命を奪われたことを知る。

カプノスは自らの命を守るため、仲間たちへの復讐を果たすため、ダリア・カーリに導かれ、カプノスのインプラントに適合させてつくられたという銃を手にし、巨悪との戦いに臨む。

FORECLOSEDにはバンドデシネ風の世界でキャラクターを動かせる快感がある

FORECLOSEDは全編をとおして、バンドデシネ風のイラストをベースにした世界が描かれている(バンドデシネに関しては、メタルギアソリッドピースウォーカーの劇中アニメなどが例としてわかりやすい)。

目覚まし時計が鳴ると、その上に「Beep Beep」とルビが踊る。移動中のカメラワークなど細かな表現もバンドデシネ風だ。FORECLOSEDはいわゆるステージクリア型のアクションシューターなのだが、戦闘パート以外では、「コマ割り」を意識したカットをプレイヤーの操作するカプノスが動き、物語が進んでいく。

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例えば、序盤では自室を出たすぐ後に、それまでのTPS風のカプノスを少し後ろから見ている視点から、カプノスを遠くから監視する視点に変わったり、しばらく進むと、監視カメラで上から見ている視点に変化、カプノスが何者かに監視されていることを表現する。

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また、移動中、例えば下のコマに目的地があり道中をエレベーターで進むような場面では、プレイヤーの操作するカプノスがいるコマそのものを動かし、文章や、映像ですべての場面を表現することなく、カプノスが移動していることを表現する。

終始こうした、動くバンドデシネのような表現形式を通してゲームは進んでいくのだ。世界感としてはよくある「サイバーパンク」ものだ。だが、FORECLOSEDはゲームをプレイしているともバンド・デシネのページをめくっているとも、どちらともいえない、独特な魅力をもっている。

FORECLOSED アクションシューターとしての出来はイマイチ

冒頭からの繰り返しになるが、FORECLOSEDの世界感は秀逸だ。だがアクションシューターとしての出来は正直イマイチで、単体としてはあまり楽しめなかった。

カプノスの戦闘能力は実に豊富だ。SECURTECHの改造インプラント装備したカプノスはインプラントを利用したハッキング能力を使い敵を妨害したり、改造インプラントに適合し、連射、シールドやボディーアーマーを貫通する特殊な弾丸を撃てる改造銃をはなち、中盤以降身に着ける念動力を使い、消化器やダストボックスなどを持ち上げ、遮蔽物にしたり、敵に投げつけたりしながら、戦っていく。

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敵を倒すと得られる経験値を使って、インプラントや銃の能力を開放し、より有利に戦っていく、というのがFORECLOSEDの流れだ。

銃を手にできない物語冒頭は、メタルギアシリーズのようなステルスアクション的な楽しさがあった。敵に隠れダクトを通り、ハッキングして電子キーを壊し、道を開く。敵に見つからないよう忍び寄り、インプラントをハッキングして回路を焼き、殺す。といったプレイも出来る。

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特殊能力があるのに、結局最後は遮蔽物に隠れてちびちび銃撃戦をすることになる

ここまでは世界感も相まって、楽しかった。私の顔が曇りだすのは銃を手に入れてからである。まず、とにかく敵が強い、上に固い、序盤から5発10発と銃弾を当てないと倒せない。

加えて、FORECLOSEDでの戦闘は多くの場合1対5、突然横から敵が現れる、後ろからやってくる、そしてそれをカプノス一人で対処する、という絶体絶命の状況で始まることがほとんどだ。カプノスはあっという間に死んでしまう。

ただ、こうした難しさはいわゆる死にゲーではよくあることだろう。だが、このゲームでは、いわゆる強敵とか死んでパターンを覚えるみたいな楽しさがない。上述した絶体絶命の状況がずっと続くうえに、これをやれば状況が一変するとか、敵の弱点をつく、意表をついてヘッドショットする、みたいなことは求められない。敵のパターンも一辺倒で、シールドを装備している、ヘッドギアを装備しているなど防御力があがる要素はふえるものの、攻撃手段などは変わらない。カプノスを滅多打ちにしてくるだけである。

詳しくは後述するが、カプノスが身に着ける特殊能力も使える場面がすくない。結局最終的に遮蔽物に隠れながら、敵の隙を狙い攻撃していく。序盤はヘッドショットも狙えるので、敵を一撃で倒せる楽しさもあるのだが、終盤以降はヘッドギアを装備し、ヘッドショットが効かない(特殊能力を装備すると効く)敵も登場。ダメージを受けないように物陰に隠れ、ひたすら敵が倒れるまで銃をぶっ放すことを続けるだけのゲームという点は最後まで変わらない。ボス戦もないので、基本的にはこれの戦闘とイベント面がずっと続いていくような流れのゲームなのだ。

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銃は改造してもあまりメリットを感じられない

もちろん、インプラントや銃を改造して、カプノスを強化して戦闘を楽にするための要素は用意されている。まず銃だが、スキルポイントを利用して最大で6個(破裂弾、連射、シールド貫通、ヘッドギア貫通、特殊能力を利用した銃撃のマックスが伸びる、特殊能力を開放することができる)開放できる。装備できるのは最大3つだ。

もちろん、有用な能力もあるのだが、正直なところ、あまり劇的な変化は感じられなかった。まず、特殊能力は後述するインプラント能力も含めて、連続使用できる上限が用意されている。特殊能力を使用すると、カプノス頭の上にチップを模したゲージが浮ぶ。使用するたびにゲージが徐々に黄色から赤に変わっていき、マックスまで行くとカプノスのインプラントはオーバーヒートしてしまう。

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オーバーヒートするとカプノスは頭をかかえてうなり、数秒動けなくなってしまう。敵から銃撃を受ければ即座にゲームオーバーの危険性があるのでできるだけ避けたい。しかし、オーバーヒートまでの時間が短い。しかもオーバーヒートしてしまうとその先頭では銃の特殊能力が使えなくなってしまう(これはバグかもしれないので、今後の改善に期待、少なくとも改稿時8月28日時点にプレイした段階では治っていなかった。)

銃の改造能力の一つにインプラント消費を減らすものがあるのだがそこまで効果は体感できない。だが、前述したように銃の改造枠は3つしかない。ほかの能力の枠を食ってしまうわけだ。正直なところ、ほかの能力(弾丸が破裂する・シールドやヘッドギアを貫通する・連射できる)を外してまで使いたい能力ではなかった。

結局、ゲームオーバーをしないためには遮蔽物に隠れながらダメージをさけ、ちびちび敵に玉を当てていくという亀の歩みのような戦術をとらなくてはいけなくなる。これがかなりストレスだ。

それを補うようにしてあるのがインプラントの能力、なのだろう。敵を一撃で殺せるインプラントもある。

一つは見つからないで敵に忍び寄ると敵のインプラントをハッキングして焼き殺すことができるというものだ。見つかっていない状態で敵に近づく、あるいは敵がカプノスの近くに来るとハッキングボタン(PS4版のデフォルトでは△ボタン)が敵の頭上に浮ぶ。そのタイミングでボタンを押すと敵が頭を抱えながらうめき声を上げるとともに演出が始まる。△ボタンを連打することで、敵の回路を焼き切れば、成功。敵は命を落とす。

メタルギアやヒットマンのようなシリーズと違いFORECLOSEDでは、敵が死体などの異変を察知することもないので、見つからなければそのまま連続して敵の命を奪うこともできる。

だが、うまくやって敵の戦力を大幅カット!!!

とか、完全ステルスでクリア!!!みたいなことはかなり難しい(おそらくできないわけではない)

まず、使える場所が限られている。FORECLOSEDでは敵に見つかっていない状況で戦闘がスタートすることがほとんどない。加えて、敵に見つかっていない状況でスタートできる局面でも、敵の視力が異常によいのだ。メタルギアのような視野の概念がなく、視界に入って一定時間たつとどんなに距離が離れていても見つかってしまうのである。

もう一つのインプラント能力は戦闘中に使えるものだが、こちらも問題がある。まず1回使うとほぼオーバーヒートに近い状態になってしまう。つまり、次にそのほかの敵にインプラント能力をつかったり、即座に特殊能力を使って銃撃をしたり、ということができない。こちらも、5体1などの状況で、1人殺し少しでも数的優位に持ち込む、という使い方はできても、これで全キル!!!みたいなことが難しい。

結局、1人殺して、すぐさま遮蔽物に隠れて残りをちまちま倒す、といった流れになる。

そのほかにも敵を持ち上げて(シールドを持っている敵はまずシールドを持ち上げる)行動不能にしたりする技もある。これも敵がボディーアーマーやヘッドギアをまとうようになる中盤以降は時間稼ぎ位にしか使えない。結局最後は死ぬまで遮蔽物に隠れながら銃撃し続けることになる。

もう一つのお助け能力としてFORECLOSEDには「念動力」がある。消化器やダストボックス、箱などを浮かせて敵にぶつけたり、壁にしたり出来る能力だ。クールな能力なのだが、やはりプレイの中で使うと、見掛け倒し感は否めなかった。

まず壁にして使う場面がほとんどない。

また敵にぶつけるほうの能力は当てた敵を必ず倒せる上(シールドを持っている敵はシールドをはじく)に、どこにいても必ず当たるという点で有用なのだが、敵を一人ずつしか選べない。マップにある念動力をつかって動かせるアイテムは一度的にぶつけると、2度目は使えなくなってしまう上に数に限りがある。

これも結局何人か敵を倒したあとは、遮蔽物にまぎれて、敵にちびちび球を当てることになってしまう。結局のところどの特殊能力を使おうと最後は同じぐずぐずの銃撃戦になってしまうのである。

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リスタート位置にイライラする

また、すぐ死ぬ割にリスタート位置が面倒だ。先述したようにバンドデシネ的な表現が通底しているため、常にイベントが発生しているようなゲーム性がFORECLOSEDの特徴なのだが、それがわざわいしてか、戦闘パートで死ぬと、その前にあったイベントの最初からやり直さなければいけない場面が多い。

何度も死ぬのに、何度も同じイベントを見させられる。しかもイベントはカットしたり早送りしたりできない。何度も同じ話を同じスピードで聞かされる。正直苦痛に感じてしまった

また、これは重箱の隅をつつくようなのだが、日本語訳もおかしい。文法的にはあまり可笑しくないのだが、おそらく機械翻訳をほぼそのまま使っているようで、単語が異様に難しかったり、男であるカノプスのコメントが「○○なのね」と女言葉になっていたりと、細かいところで粗が目立つ。

世界感が素晴らしいだけに逆に気になってしまった。

FORECLOSEDはバンド・デシネ表現とゲームの融合を目指したといえる、意欲作だ。だがしかし、ゲームとしては粗が目立つ。致命的な問題はないのだが、細かいところが雑に感じた。特にアクションシューターとしては要素を盛りだくさん詰め込んだも関わらず、結局最後は同じような遊び方になってしまう。楽しめないプレイヤーもいるのではないだろうか。期待していたタイトルだけに残念だった。

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