原枝恚子さん怪死事件レビュー 短編モキュメンタリ―ホラー。名作へのオマージュも感じさせるメタ的な展開はいいけどゲームではないかも

ゲームレビュー

STEAM絶叫フェスにおそらく合わせて配信されていた、ホラーゲーム「原枝恚子さん怪死事件」クリアまでプレイしたので感想をまとめていきます。(プレイ時間30分程度)

短評 会話などは一切なく、終始「何かが起こりそう」な感じが演出されており、途切れのない恐ろしさが味わえます。また、台湾ホラー映画「呪詛」を感じさせるようなメタ的な演出もグッドです。ただ、正直なところ、良くも悪くもゲームというよりは映像作品的な一作だと感じました。

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1999年9月12日とある女性が怪死した

舞台は日本、謎の語り部がある事件とそれにまつわる「ビデオ」について語っているところからゲームはスタートします。

事件について大まかな概要をまとめると以下のようになります。

事件が発生したのは1999年9月12日午後8時。さるマンション管理人の通報を受けた警官がマンションの一室に駆け込むと、その部屋の住人である20代くらいの女性、原枝恚子さんが倒れているのが見つかった。原枝さんはすでにこと切れていた。

警察は捜査を開始したが、原枝さんに目立つ外傷がなく「ストレス性の心不全」で命を落としていたことや原枝さんが精神疾患の既往を持っていたこと、物的証拠が見つからなかったことなどから「事件性なし」と判断し捜査を打ち切った。

しかし、しばらくして、原枝さんの遺族のもとに小ぶりの封筒に包まれた「ビデオテープ」が届く。不審に思った遺族はビデオテープを警察に提供、そこには、事件の原因と思しき「何か」が映っていた。

ビデオ内の「謎の人物」を操作し進める

というのがゲームのあらましです。そして、「今から見るのはそんないわくつきのビデオや」という語り部の導入の元ゲームはスタートします。

ゲームは非常にシンプルです。ビデオに映った「原枝さんの部屋」の中で原枝さんと思しき人物を操作、あるいは、外にいる「何か」を操作して進めていきます。

「ビデオ内」では、会話やテキストによる説明やイベントはありません。少し動かしていると「ピロリロ」と電話音の呼び出し音が鳴り受話器を取ると無言電話だったり、玄関のノブを誰かが開けようとがちゃがちゃ回し始めたりと恐怖イベントがさしはさまれ、徐々に「原枝さんに何かが起こった時間」が近づいていく、という流れ。

正直なところゲームというよりは「操作できる映像作品」といった趣ですが、薄暗いマンションの一室の質感やつねに「何かが起こりそうな緊迫感」が漂っておりとにかく不気味でたまりません。

「某ホラー」の影響を感じさせる最後の種明かし

起承転結のあるシナリオみたいなものはなく「原枝さんに何が起こったのか」を追体験するという作風ですが、一応最後に「種明かし」のようなものがあります。

内容はゲームをプレイしていただくとして、ネタバレのない範囲で言うともろに台湾ホラー映画「呪詛」みたいな話が出てきます。

これが非常に嫌な終わり方で良い。「原枝さん」だけでなく第4の壁を超えて、現実世界にいるゲープレイヤーにも恐怖が伝播していく構成はたまりません。ただ、正直に言えばオマージュとしては直球過ぎる気もしましたね。

原枝恚子さん怪死事件、ホラー作品としての雰囲気はぴか一です。ただ、ゲームというにはボリューム的にも少ないですし、操作による楽しみみたいなものはほとんど得られないかなと思います。ゲームのように操作できる映像作品ととらえると、良くまとまっているのではないでしょうか。価格も安いので気になったらぜひ。

その他レビューはこちら

筆者プレイ動画

 

 

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